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本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
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現代の狼少年/金(ゴールド)の理論値
2011.07.31
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●現代の狼少年
間もなく、「国債」と「金(ゴールド)」との戦いに、 最後の決着が付くことになるようだが、この点に関して言えることは、 「これほどまでに、マネーの呪縛が強かったのか?」 という驚きであり、また、 「既得権を守ろうとする人々は、最後の段階で、 どのような行動でも取るものだ」ということだった。
つまり、現在では、「お金が、現代の神様になった」というような状況となっており、 実際には、世界中の人々が、 「お金」という「正体のわからない存在」を「神」のように崇めてしまったのである。
また、「金融システム」や「通貨制度」に関して言えることは、 「マネー」の膨張により利益が得られる人々は、ありとあらゆる手段を駆使し、 「マネーの縮小」を防ごうとするということであり、 また、「時代の大転換期」においては、 多くの人が、「訳が分からなくなり、無謀な行動に走るものだ」 という点も、よく理解できたものと感じている。
そして、今回の重要なポイントとしては、「国債が、どのような結末を迎えるのか?」 という点に関して、いろいろな議論が出たということだった。
つまり、「日本の国債は、約95%が国内で保有されているから、 決して、国債が暴落することはない」という意見と、 「国の借金といえども、個人や企業の借金と、本質的には同じであり、 最後には、返さなければいけない性質のものである」という 「二つの意見」に分かれてしまったのである。
そして、後者が主張することは、 「国家の場合には、最後に、紙幣の増刷が行われる」というものだが、今までの状況としては、 「国債価格の暴落が、まだ、起きていない」ということにも間違いはなく、 結果としては、「国債価格の暴落を主張する人々は、現代の狼少年である」 というような考えが、人々の間に広まったというような状況にもなっているのである。
しかし、問題は、「本当に狼が襲ってこないのか?」ということであり、このことは、 「世界の財政危機を、このままの状態で、本当に解決できるのか?」ということである。
つまり、「問題の先送りが、何時まで継続できるのか?」ということと、 現在の方法では、「借金が、雪だるま式に膨らみ続けている」ということだが、 このことは、「3・11の大震災」の時の「原発問題」と同様に、 「大事件が起きない限り、問題の本質に気付かない」という状況に重なって見えるのである。
そして、大事件が起きた後に、「なぜ、前もって、警告を発してくれなかったのか?」 というような嘆きが、数多く聞かれるというのが、過去のバブルでも起きたことだったのだが、 今回も、まったく同じような状況が繰り広げられるものと考えている。
●金(ゴールド)の理論値
現在、海外の「投資の専門家」の間では、 「金の理論値」を模索する動きが強まっている。
つまり、「本来、金の価格は、いくらが妥当なのか?」ということだが、 この裏側には、現在の「金融システム」や「通貨制度」に対する 不信感が存在するようである。
具体的には、本来の「お金」というのは、文字通りに、「金(ゴールド)」であり、 「お金が発明されてから、数千年にも亘り、金が主役を務めてきた」 という状況だったのだが、「1971年のニクソン・ショック」以降、 「通貨の価値と形態」が大きく変化し、 「現在では、金の役割が、大きく減少している状況」とも言えるのである。
また、この時に、「中央銀行」や「民間銀行」が、 「どのような役割を果たしたのか?」、あるいは、 「デリバティブ(金融派生商品)」を中心にした金融商品が、 「どれほどの大膨張をしたのか?」という点も、真剣に議論され始めているのである。
そして、結論としては、「100年程度」の歴史しか存在しない各国の中央銀行は、 「国民を犠牲にすることにより、自分たちの利益を目論んだのではないか?」 というような、過激な発言も出始めているのだが、 実際には、「大きな歴史の流れの中で、全てのことが必然だった」とも言えるようである。
ただし、この時に考えなければいけないことは、 「過度に大膨張した中央銀行のバランスシート」や 「史上最大規模のデリバティブ」については、必ず、正常な状態に戻るということである。
具体的には、「お金」というのは「残高」であり、 「インフレでしか、調整ができない」という性質を持っているために、 本当の意味での「金融混乱の解決法」としては、 「ハイパー・インフレ(超インフレ)しか存在しない」 ということが、過去の歴史が教えることだからである。
そして、この時に大切な事は、「世界の中央銀行が、過去に、 どれほど資産を膨らませたのか?」ということであり、この数字を計算することにより、 「金の理論値」が理解できると考えられているのである。
つまり、結論としては、「現在の理論値は、一万ドルを超えている」というのが、 多くの専門家が言い出した数字でもあるのだが、 このことが、「今まで、私が申し上げてきたこと」とも一致するのである。
そして、このような観点から考えられることは、 「ギリシャなどの財政危機に対して、追加融資で、問題を先送りする」 という方法が、完全に行き詰まりを見せてきたということであるとともに、 たいへん近い将来に、「ハイパー・インフレ」が発生し、 「通貨の価値が、信じられないほどに激減する」ということでもあるようだ。
2011年7月6日 本間裕(経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師)
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