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本間 裕
経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師 [ 資産運用 ]
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カジノの大王/ギリシャからローマへ
2011.12.24
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●カジノの大王
現在の金融市場は、一種の「カジノ」のような状況となっている。 具体的には、アメリカのメガバンクを中心にして、「大量の資金」を創出し、 「その資金で、金融市場を、自由に操っている」という疑いが 強くなっているからである。
特に、「GS(ゴールドマンサックス」に関しては、 「2008年の金融混乱」の時に、 「GS出身の前財務長官であるポールソン氏」が、 「国民に対しては、ファニーメイなどの住宅金融公社は潰れない」 と発言しながらも、その裏側で、 「同僚のヘッジファンドに対しては、空売りをさせて、 莫大の利益を上げさせたのではないか?」という報道までもが 出る有様となっているのである。
また、今回の「ヨーロッパの金融危機」についても、 「粉飾決算を行うことにより、ギリシャをユーロに加盟させた」 という事実は、以前から報道されているが、現在では、 「ECB(欧州中央銀行)」や「IMF」に対しても、 役員を送り込むことにより、「GSの影響力が強まった」とも 報道されているのである。
そして、「GS」の「G」は、「GOLD」ではなく、 「GOVERNMENT(政府)」を意味しているのではないか とも揶揄され始めたのだが、このような状況が、現在の、 「ウォール街を占拠しろ」という運動の「根本的な原因」とも言えるようである。
このように、現在では、「世界の金融市場がカジノ化し、 そのカジノを大王がコントロールしている」というような状況でもあるのだが、 一方で、「信用崩壊の波が世界を襲い、間もなく、 日米英にまで達しようとしている」ということも、世界的に、 はっきりと見えてきたのである。
そして、このような状況下で起きたのが、 「大王製紙の前会長が、カジノで、莫大な損失を被った」 という事件だったのだが、このことが意味することは、 一種の「天の警告」でもあったようだ。
つまり、「権力者の暴走」が、どれほど危険なものであり、 「暴走を許すと、会社の存続そのものが危うくなる」ということを、 多くの人に示したのではないかと感じているのだが、残念ながら、 「金融界の大王」については、依然として力を保っており、 その結果として、「国債」対「金(ゴールド)」の「最終決戦」が、 まだ続いているのである。
具体的には、「日米英の国債」が、依然として、高値圏に存在し、 「金融のコントロールが継続している」ということだが、現在では、徐々に、 政府高官による「日本国債の突然死」が警告され始めた状況とも言えるのである。
そして、このことが、「国債暴落のXデー」のことであり、 今までの状況から考えると、そのタイミングは、 きわめて近くなっているようである。
(2011年12月7日)
●ギリシャからローマへ
ご存じのとおりに、「ヨーロッパの金融危機」に関しては 世界的な大問題となっており、現在では、「ドイツ」や「フランス」にまで、 問題が広がってきたのだが、注目すべき点としては、 「なぜ、ギリシャからイタリアへ、一挙に、危機が飛び火したのか?」 ということである。
つまり、「弱い国から、順次、問題が発生する」という原則から考えると、 「イタリアの前に、スペインやポルトガルが、危機的な状況に陥る」 という状況が考えられたのだが、実際には、 「イタリアの後に、スペインなどの問題が出てきた」ということだったからである。
そのために、この点を、よく考えてみると、 「イタリアという国の、歴史的な立場」が浮かび上がってくるようだが、 それは、「古代文明」と「現代文明」との「橋渡し役」をしたということである。
つまり、「西ローマ帝国の崩壊」と「ルネッサンス文明の発祥」に置いて、 「イタリア」という国が重要な役割を果たしたのだが、このことが、 今回、大きな意味を持っていた可能性があるようだ。
つまり、「古代のギリシャ、ローマ文明」を振り返りながら、 「ルネッサンス以降、西洋社会が、どのような発展を遂げたのか?」 を考えることが、これからの予測をする場合に、 重要なポイントだと思われるからである。
そして、この時に大切な事は、「覇権国が、100年ごとに、 どのような順番で移行してきたのか?」を振り返ることだが、 それは、「イタリア」の次に、「スペイン」や「ポルトガル」、 そして、「フランス」や「イギリス」へと、順次、移行してきたということである。
別の言葉では、今回の金融危機に関して、 「アメリカ」のみならず「イギリス」も、きわめて重要な役目を担っていたのだが、 今後は、この点が、明らかになってくる可能性が高くなっているのである。
つまり、「デリバティブ」に関して、 「アメリカ」と「イギリス」との共同関係が存在することや、 あるいは、「国家債務」の他に、「民間債務」を考えた時に、 「イギリスには、GDPと比較して、1000%もの債務が存在する」 という点が指摘され始めたのである。
別の言葉では、今まで、ほとんど問題視されていなかった 「イギリス」が、実は、 「今回の金融大膨張で、きわめて重要な役割を果たしていた」 ということだが、反対の観点から言えることは、 「イギリスにまで、金融危機が飛び火した時には、世界中が炎上する」 という可能性が存在するのである。
そして、この時には、現在の覇権国である「アメリカ」が、 無事でいられるはずもなく、このような状況こそが、 今まで申し上げてきた「金融大崩壊」の「最終章」のことである。
(2011年12月7日)
本間裕(経済評論家、第一商品「経済・商品セミナー」レギュラー講師)
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