私は今まで企業、会社のトップの方、また受付の皆さんのユニフォームのデザイン、製作、会議室の改装、インテリア選びのアドバイス、社員の方のスタイリングや意識アップのためのワークショップ、、、社内報、WEB、ブログでのアドバイス、、、といろいろなことをお手伝いしてきました。
今回は、そんな中での一つの仕事について書かせていただきます。
その会社はその当時、とても業績が伸び、二部上場の準備に入っていた時期でした。
創業社長の圧倒的な陣頭指揮により社員のやる気、モチベーションも上がりいろいろなところからも注目させる、そんな存在でもありました。
そんな時、その会社の経営企画室室長であり、取締役の方から、私に相談したいことがある、、、とご連絡をいただきました。
その方は、実は以前から存じあげていた方でしたし、外部からその会社の重職に就かれていろいろなお考えがあると感じましたので、、、すぐに伺うことにしました。
すると、どうでしょう、その本社の外装の素敵なこと。
しかし、そこの受付の方のユニフォームや、昔ながらの会議室、また働いている方のファッションスタイルがなんだかちぐはぐでしっくりきません。
場所も、扱われている物件、施工されているものはとてもかっこよく時代の空気も関わっている方もすべてがグローバルなのに、、、そこで目にしたものは昔のままの不動産屋にみられるパープルっぽいスーツや光った感じのスーツに身を包んでいる方までいるありさま、何とも未頓着な感じで驚きました、、、。
物件を買いたいと訪ねてくる方には、どんな風にこの風景、この感じが映るのでしょうか?
気になり、そのご依頼をいただいた方に、質問の嵐をあびせてしまったことを今でも思い出します。
そして、外部から入ってきた彼も私が感じたことと同じことを疑問に思っていたようで、一緒になって受付の見直し、会議のインテリアなどの刷新、そして役員の方から社員の方すべてのセクションの希望者の方を集めた新生○○○株式会社ワークショップを週に一回、お仕事が終わる19時から30名位の方々と始めることになりました。
高級物件を扱うようになると同時に、オシャレなエリアに本社を移し、お客さまも、お取引する会社の方も、数年前とは大違い。
ましてや、その新しくなりつつある○○○にあこがれて入社してくる社員の方も年々増えてきています。
そして、そんな周りを見ながら、どんなスタイルで接客に望んだら良いのだろうか?
また今の顧客や、ユーザは何を求めて自分たちの会社の物件を見に来ているのだろうか?と、社内、社外の疑問や悩みを解決し、新しくてオシャレな○○○になるために社内一丸となり進んで行きたいという声が集まり、スタートしたワークショップ、、、皆さん部署、役職、年齢、キャリアすべての枠を外しての参加です。
素直に感じていること、今の実情、洋服の着方???本当にこれで良いのだろうかと、活発な意見が交わされます。
皆さんに好きな仕事の時のスタイルをファッション誌から切り抜いてもらったり、自分たちも洋服選びに対する質問に答えたりと、そのワークショップは1年近く続きました。
そして、その間には受付の皆さんのユニフォームを変えたり、会議室をホテルのロビーのようにモダンにしたりと、目に見えて会社が動いていることを皆さんにもアピールしていきます。
半年過ぎたころには、社長をはじめ役員の方のスタイリングをすべてお手伝いし、新しい雰囲気に変わった皆さんの顔写真や会社のパンフレットも出来上がってきました。
なんだか、社長最近かっこいいね、やさしそうね、話しやすい感じになったね、そんな声も社内で聞こえてきて、確実な手ごたえを感じました。
毎週のワークショップもますます、みんなが楽しくやる気になってきてよかったなーなんて感じた頃、私はあることを皆さんとやってみたいと思い始めました。
それは、その会社の恒例の忘年会(一年間の各部署の成果の発表会と、各部署の演芸大会)に一年近くみんなで考えた新しいスタイリングに身を包んだファッションショーをしてみたいと思ったのでした。
社長、役員の方を筆頭に、各部署で約一年かけて考えてきた自分たちの会社の、自分たちのスタイルを社員400人の前で見せようというものでした。
信頼感のある清潔なスーツ姿の営業の方々、受付の女性もシックでクールに変身しました。
デザイナーやクリエイターの部署の方はジャケットにパンツスタイルや、女性もほかの部署の人よりもほんの少しトレンドをプラスしました。
また人事や秘書課の方は、シンプルで女性らしいタイトスカートに。
役員の方々は、今までの派手なスーツやネクタイから、一人一人の方に合わせた上品で顔を明るくしてくれものに変更し、胸には必ずポケットチーフを挿すことをご提案しました。
受付の方のユニフォーム、チーフ挿し方アレンジをご提案
今までやったことのない、新しい自分、新しい会社のドレスコードの発表会は、私の知り合いの本当のファッションショーの演出家の方やヘヤーメイクの方にも助けていただき、みんなわくわくドキドキです。
歩き方、笑顔、堂々とした立振舞い、美しい身のこなし、ぎこちなさはあっても社員の皆さんの大きな拍手と歓声で、私の説明の声も聞こえない程の大盛況。
自分の洋服、スタイリングに自信を持ち歩く姿は、これからの仕事の自信にもつながり、嬉しい気持ちでいっぱいでした。
普段あまりメイクをしたことのない女子社員の方の可愛く、美しかったこと。
社長をはじめ役員の方の素敵だったこと、今でもあの時、説明しながらも目頭が熱くなったことが思いだされてきます。
たかが洋服、イメージなんて仕事にはあまり必要ない、、、なんて思っていた方もきっといたはずです。
でも、そのファッションショーが終わった後、ワークショップに参加していなかった多くの社員の方から、
「カッコ良かったですね。次回は是非参加したいです。」
「私達がこだわりご紹介しているモデルルームにもこの方がしっくりきます。」
「この会社に入って良かったです。断然やる気になりました。」
そんな言葉をたくさんいただきました。
そして、ファッション、自分をプレゼンテーションする事が、実は仕事でとても大切な事をこの時間で実感しました。
きちんとしたスタイルで接客出来ればきっと、新しいお客様に信頼していただき、良い関係ができる事、間違いありません。
イメージングは人も企業も幸せにする、、、そう感じた忘れられない一日でした。