C公的売却の大幅減少○1999 年、欧州の15 中央銀行による金売却制限協定(第一次ワシントン合意)により、国際金価格は250 ドル台の大底から脱出した。
○従来、相場の圧迫要因であった各国中央銀行の売りは、2005 年をピークに激減した。第二次ワシントン合意では、完全に上昇トレンド入りした金価格をみて売り渋りが起こったとみられ、完全消化せずに終了した。
○2009 年、中国・インド・ロシア等の一部新興国が保有高を大きく増やしたことで、全世界の公的機関の金保有高が増加に転じた。ソブリン・リスク(国家の信用リスク)が高まるなか、ドルやユーロへの不安から無国籍通貨「金」を外貨準備に組み入れる動きが広がり、2010 年には従来の売り手だった公的機関は買い手に転じると予想されている。
参考として、「公的機関の金差し引き売買量と金保有残高」、「主な新興国の公的金保有量」を参照していただきたい。
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資料:第一商品
D軍事的「有事の金」○東西冷戦時代は、米・ソの核戦争発展への脅威があったため、ソ連のアフガン侵攻・フォークランド紛争・湾岸戦争等の軍事的有事に金価格は大きく反応した。しかし湾岸戦争以降、冷戦終結によって大規模な戦争につながるリスクが小さくなり、米国の一極支配が強まる中、「有事の金」から「有事のドル」の時代に移った。
○しかし、2001 年9 月11 日の米同時多発テロの発生で、覇者米国の死角が浮き彫りになったのを機に、「有時の金」が復活した。「地政学リスク」という言葉は、米連邦準備理事会(FRB)が2002 年9 月に出した声明文で触れてから、多く用いられるようになったが、基軸通貨ドルへの不信感が次第に高まるにつれ、究極的な有事にはやはり「金」しかないというコンセンサスが広がった。
参考として、「2001年9月のニューヨーク市場の動き」、「ソ連アフガニスタン侵攻時」、「フォークランド紛争時」、「湾岸戦争時」を参照していただきたい。
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