|
|
山ア拓巳
[ 礼儀作法 ]
|
|
|
|
山ア拓巳
[インタビュー]
|
気くばりのツボ/サンクチュアリ出版(2)
2006.02.15
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
|
|
人と人との関係は尊敬であり、それが気くばりだと思います
|
本を読まない人でも読んでしまうような本
【高城】 気くばりという言葉から想像するのは、どちらかというとビジネスマンでも年配の方と部下というイメージがあったので、本を読ませて頂いて、ビックリしてしまったのですが、川崎さんはどうでした?
【川崎】 ご両親のことが気になりましたね。書かれている背景には、ご自身で育ちながら培ってきたものや周りの方から得たものもあると思うのですが、ご両親の教育がすごく素敵だったのではないかなと思ったのですが、いかがですか?
【山崎】 どうなのでしょうかね。先日、母と話し合ったことがあるのですが、今でもやはり本当に尊敬していますね。 基本は尊敬です。嫌だなと思う時は、見えない振りをしていますけど、本当にいいものをたくさん頂いたなということは感じますね。
【高城】 聞いていらっしゃる方の中にはまだこの本を読んでいない方も当然いらっしゃると思うので、簡単に説明したら、どういう本といったらいいのでしょうか?
【山崎】 読んで頂いた時にたぶん感じて頂けるのが、「ああ、知ってる、知ってる」ということです。「当たり前ではないか」ということや「当たり前だと認識しているけれどもやってないよ」ということ、「んっ」とひっかかる部分も出てくると思います。そのひっかかる部分はたぶん自分が正しいと思っていたことが「そうではないな」と感じる瞬間だと思うのですが、その大きな理由に勝つノウハウと勝ち続けていくノウハウが違ったりするように、上手くいくノウハウと上手く行き続けていくノウハウは違います。
自分はこれが上手くいくノウハウだと認識しているものが、上手く行き続けていかせたいと思った時に、実はここはそうしない方がいいなと思うようなことを書きました。それがひっかかる部分です。上手くいき続けるということは、上手くいくノウハウとは違ったりするということを感じて頂ければ有難いなと思っています。
【高城】 この本はとても素敵なデザインとメッセージがたくさん詰まっていますが、幅広い年齢層の方、若い方にも読まれたのではないですか?
【山崎】 はい。
【高城】 実際に10万部を越えるベストセラーですから、たくさん若い方が読んで驚いたり、実際にツボを使ったりする方が多いと思うのですが、具体的に読者の方から何か反響がございましたか?
【山崎】 本当はビジネスパーソンの人たちが今の新しい人間関係の作り方を学んでいって頂けたら有難いなと思って出版したのですが、女性の方、特にOLの方にものすごく読んで頂いたり、親子で読んで頂いたりしています。
【高城】 親子ですか?
【山崎】 はい。読書感想文をこれで書かれたお子さんもいらっしゃいます。
【高城】 そうですか。
【山崎】 恋愛でもすごく上手くいったという返事を頂きまして、ビックリしています。
【高城】 私も読ませて頂いて、パーティーにはなるべく顔を出すとかですね。それから読み始めて、ものすごく1つ1つのツボが自分の中に入ってきて、それからその心を読んでいって、なるほどなるほどということで、読みきってしまえるような感じでした。
【川崎】 そうですね、簡単に。
【高城】 ものすごく作りも工夫されていらっしゃると思うのですが、本そのものの作り方や伝え方が通常の文章の書き方ではなくて、デザイン感覚があるような気がします。そのあたり工夫されて、ご自身のメッセージをだいぶ入れていらっしゃるのですか?
【山崎】 そうですね。僕自身、昔、本を読まない人でした。高校時代、同じ寮の仲間達としゃべっている時に自分と力の差を感じて、何でこの人たちはこんなに優れているのだろうと思った時に、やはり彼らは本を読んでいました。その時に僕は一生懸命読もうとして、読めないところから読むのが好きになっていく過程があるのですが、人を取り込んでいくというか、人に読みやすくする、読まない人が読んでしまうような入れ知恵をしたいなという気持ちがどこかにあり、人の人生に関わりたい、人の日記帳に載りたい。
そんな思いから、読まない人も読んでしまう、そして影響を受けてしまうというような角度でお付き合いできたらおもしろいなというところから、このようなデザインになっていったような気がします。
【高城】 大上段に構えていなくて、ものすごく受け入れやすい形になっているなと僕は思っていて、「気くばりを」と言われますと、上から言われているのかなと思っていました。そこの部分が違っていましたし、今日、山崎さんにお目にかかってものすごく親近感の湧く方でいらっしゃったので、すごく驚いたのです。川崎さん、どうですか?
【川崎】 はい。その通りです。
【高城】 実際にこの本を書かれて、読者の方から直接お話を聞いたり、本を読んでこうなりましたというような話はありますか?
【山崎】 知らない間に僕はこのツボを使っているので、直接読者の方とお話すると、「これは何々のツボですね」と指摘されて「ドキッ」としてしまいます。 手品師が種を見せてしまった感じで(笑)。「僕には気くばりのツボはいいですからね」なんて言われたりします。本当に自分の性格があらわになったという感じで、実際皆さんに会うと検証されてしまいます。
【川崎】 先ほど高城さんがすごくお話ししやすく、親しみやすい方だとおっしゃったのはその通りですよね。本に書いてある通り、目線や表情に全部そのまま出ていらっしゃいますよね。
人生をもっと踏み込んでいくために、さらに書き続けたい
【高城】 この本ですが、不思議だったのはイラストを使っていないですよね?
【山崎】 はい。
【高城】 これはあえてなんですか?イラストレーターでいらっしゃいますが、イラストを使わないで、メッセージだけで勝負しようと思ったのですか?
【山崎】 そうですね。今回はデザイナーの方とお話ししていく過程で、内容がずれず、ぼけないように、シャープに伝わるようにイラストをはずしていこうということになりまして、こんな形でシンプルに、しかもメッセージがドカンと伝わるようにしました。伝えたいことがはっきり形になるような形を取りました。
【高城】 なるほど。山崎さんから見て、イラストを描くということと、文章を書いて本にしていくということは、ある意味同じような表現だと思うのですが、これはエッセイにしたいとか、これは絵にしたいという何か違いがあるのですか?
【山崎】 絵に関しては、相手の取り方として非常に幅が出ますよね。例えば気分が下がっている時に見ると悲しい絵に見えたり、気分がハイな時に見るとすごく元気な絵に見えたりします。見る人の感情が重なっていくのです。 文字にすると限定されてきますよね。自分の持っている一つの言葉や感情を文章にすると限定されていく。ただし強く伝わっていくし、そこに真実として形になっていますよね。そういう意味で使い分けているのかなと思ったりしますね。
【高城】 自然にだんだんそれがしみついてきたのか、最初からそう思っていらっしゃったのですか?
【山崎】 これははっきり伝えてしまうとちょっとまずいかなと思うと絵になっているのかなと思いますが、深読みして頂いたら有難いし、その解釈によって皆さんに受取って頂きたいということが、ある意味絵になり、限定していこうとしているのだと思います。はっきり前に押し出していこうとする時、文章になっていると感じる時はありますね。
【高城】 本を書いている方に私はよくお聞きするのですが、これだけのベストセラーを出されると、中には「もう十分書いたのでもうこれでいいです」という方もいるのですが、山崎さんにとってこの10万部を超えるベストセラーを作られた今の気持ちはどんな感じですか?逆にもっと書きたいなと思ったのか、それともある程度満足したという感じでしょうか?
【山崎】 ちょうど旅行へ行った時に遠くに滝があると、ここから見えたからいいかと思う時もあれば、カメラがあるのでせっかくだから近くで撮ってみたいという、カメラ自身が向こうへ自分が進んでいこうという道具になる時がありますよね。
そういう意味でいうと、書くということが僕にとっては、「人生はこんなものでいいかな」と思っていたところが、「もっと踏み込んでみると何があるんだろう、それを体験したら文章にしてみよう」と、遠くに足を運ばせてくれる道具になっているような気もしないでもない。とするならば、もっともっと自分が生まれてからこの世を去っていくという時間の中の旅で、もっと踏み込んでいくという道具として捉えるならば、書き続けていきたい、書くべきではないかと思いますね。
【高城】 先ほどの話で、書きたいけれども書きたいことがない若い時がありましたが、今「気くばりのツボ」を書かれましたよね。例えば10年後に同じテーマで書いたとしたら、きっと変わってくるでしょうね?
【山崎】 そうですね。10年後の人間関係の中で大切だといわれるもの、また人間関係の達人がいるならば、何を得意にしていらっしゃるかは大きく変わっていくと思いますね。
また僕らの親父の時代だと、「腹いっぱい食べられたらいいね」という価値観から今はもっと違う幸せに対する価値観を持っていらっしゃる人たちがたくさん出てきた世の中ですよね。10年後はまた幸せの価値観も変わっていくのかなと思っています。
【高城】 どんどん変わっていきますよね。この「気くばりのツボ」を書くにあたって、山崎さんはたくさんの方とお会いされたと思うのですが、この人こそまさにこの本に出てくる典型的な人だなと思えるような人物はいましたか?
【山崎】 優れた方がたくさんいらっしゃると思います。優れた方に囲まれているが故に、きっと僕のこの不埒な心も見透かされているのではないかと思いつつ、自分を磨いてきたところもあると思います。皆さんがレベルの高い人たちだからこそ、僕のベストは何なんだろうと思いました。 皆さんはさすがだな、すごいなと感じました。
人と比べると不幸が始まっていくので、その人の中の素晴らしいなと思うところを一つでも取り入れることができたらと思い、人様から学んだいくつかのツボの集まった集合体だと思います。
【高城】 積み上がっていってこういった形になったわけですね。我々もこうなれたらいいですね。
【川崎】 そうですね。
|