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鶴岡秀子
人を元気にする専門家/「伝説のホテル」設立中 [ サービス力 ]
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鶴岡秀子
[インタビュー]
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相手にあわせた「おもてなし」をしよう(1)
2007.01.28
[ TOPBRAIN RADIO ] おもてなしの極意を聴く!
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「おもてなし」は一人ひとり違っていいんです
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小さい時から起業したいという気持ちがあった
川崎 本日のゲストはザ・レジェンド・ホテルズ&トラスト株式会社代表取締役CEOの鶴岡秀子さんをお迎えしています。
永田 鶴岡さん、本日は宜しくお願いします。
鶴岡 宜しくお願いします。
川崎 宜しくお願いします。
永田 すごい経歴をお持ちですよね。
鶴岡 自分でもビックリしました。
永田 私と鶴岡さんは昨年にお食事会の席で既に出会っているんですね。みんなとってもおしゃべり好きが集まり、当然鶴岡さんの伝説のホテルのお話も伺って、けれども僕も含め各メンバーがそれぞれ勝手にしゃべって勝手に終わって。今日もずっとお互いしゃべりますので。
川崎 ほったらかしでいいんですね。
永田 3度も起業されたのはどういう理由ですか。
鶴岡 「10歳から起業しようと決めていた」という本のタイトルにもなったのですが、本当に小さい時から起業したいという気持ちがあって、それで今回3回目になったという感じですね。
永田 1回目と2回目、2回目と3回目はやはり違いますか。
鶴岡 違いますね。この前、あるVC(Venture Capital)の社長の方に言われたんですけど、シリアントレプレナーという何度も何度も起業する人の傾向として、あとになればなるほどその人らしいお仕事になっていくそうです。
永田 それはわかりますね。僕自身は1度しか起業していなくて来年14年目に入るのですが、年々自分らしくなると周りには言われますね。
鶴岡 最初はやはり肩肘張っているというか、かなり背負って生きているんですけど。
永田 「起業とはこういうものです」と言って、周りの社長に負けないように、周りばかり気になっていたような気はしますね。
鶴岡 だんだん自然体になっている気がします。
永田 昨年だと伝説のホテルの創立の夢に近づいていらっしゃって、スタートの目標を決めていらっしゃいましたけども、まだここまでリアルな話ではなかったですよね。
鶴岡 そうですね。
永田 ここまでの流れをちょっと教えていただけますか。
鶴岡 去年お会いした時はまだ2つめの会社を経営していた時で、今年3月末にやっとホテルの会社を立ち上げまして、この間メールマガジンを会社で配信し出し、今65名ぐらいですけども毎日配信しています。最初の第1号に「マネージメントメンバーでさえ、どうやったら伝説のホテルができるのかわからないのにスタートできる私たちはなんて幸せ者なのでしょう」と書いたんですよ。
永田 それはすごいですね。
鶴岡 そうやって3月末に結集し、建設のラフプランがもう固まって、土地の手配ができて、グランドデザインといって建設が本当に具体的になる段階に今なっています。同時にホテルはシステムが必要ですから、そのシステムを。
川崎 システムとはどんなものですか。
鶴岡 予約やチェックインなどいろいろなものがあるんですけど、どんなシステムを入れるか、シェフにどんな方に来ていただくか、スパはどういうシステムを入れていこうか、どんな会社様と提携してやっていこうか、もちろんそのスタッフの採用もあるし、あと備品の選定とか。この間も1日でベッドを5社ぐらい寝まくって「あれがいい」「これがいい」と言って、いろいろ楽しくやっていますね。
川崎 わあ、なんか楽しそうですね。
永田 楽しいでしょうね。これが迫ってくると、今度はその楽しかった時間がきつくなってくるんですけど、でもそのきつかった時間はあとから振り返ると一番楽しかった時間になるんですよね。 鶴岡 そうなんでしょうね。
永田 鶴岡さんの場合、これまでの起業の間にそれを知っているから、そういうことに強いんですよ。
鶴岡 「大変そうだ」と口で言っている頭の中は「楽しそうだ」という置き換えがいっぱいできていますね。
「おもてなしの極意」は、全ての営業に通じる
川崎 以前書かれたご本の中でもお客様に対する接客、いろいろな信念や哲学をお持ちだと思うのですが、今日も「おもてなしの極意」についてこれから伺っていきたいと思います。
永田 今までお話していただいた伝説のホテルの中で、マニュアルを越えたお客様の感動を生むサービスというのを鶴岡さんはどうイメージされていらっしゃるのですか。
鶴岡 いろいろな切り口でお話できると思うのですが、私がホテルをやりだそうと決意してから去年もいろいろなホテルに視察に行ってきたんですね。自分でどこが気持ちいいと感じて、どこが気持ちよくないと感じたのかということをいろいろ分析したら、実は接点がたくさんあればあるほど気持ちよかったのです。
川崎 わかります。
鶴岡 それはホテルだけではなくてレストランでもそうだし、私がずっと昔にやっていたお洋服の販売でもそうですし、実はそれ以外の営業でも全てに通じることだと最近思ったのです。むしろ私が気持ちよかったと思ったホテルは不便で、フロントに行くにしても遠かったり、エレベーターがなかったり、みんな徒歩だったりね。何かを呼ぶにしてもなんか不便なんですよ。不便だけどもなぜあんなに気持ちがいいと感じたのだろうと思うと、不便であればあるほどホテルのスタッフに何か頼まなくてはいけなくて、頼む度に言葉を交わし、来てくださる度に笑顔を交わし、スキンシップではないけどいただく時に手を触ったり、それが気持ちよかったのです。
永田 実を言うと、私のやっているフードビジネスプロデューサーという仕事はお店を仕掛けるわけですね。その時に僕が一番意図するのはお客様とのコミュニケーションポイントをお客様が来店されてから退店、つまりお帰りになるまでに何ポイント意図的に仕掛けるかなのです。
川崎 数ですか。
永田 はい。客単価が安い、例えばファーストフードチェーンでは、そのコミュニケーションポイントを作ることがリスクになるのです。一方である程度のスキル、技術を持ったサービスマンがいるお店では親切なメニューや親切な動線や親切な料理説明のマニュアルを作り過ぎたりすることが不親切なのです。わざと不便にしていくんですね。メニューを見たら何のメニューかわからないから「すいません、これ何ですか」と聞いた時にスタッフがスラスラスラと答える。違う子に聞いてみたらその子なりの説明があったり、トイレがどこにあるかわからないとか、そういうことをどんどん仕掛けていって、わざとコミュニケーションポイントを仕掛けていくんですね。
川崎 えー、知らなかったです。
永田 僕は特に個人のオーナーさんが持つような小さいお店では、わざと仕掛けます。フランチャイズ展開、多店舗化しなくてはいけないお店ではコミュニケーションポイントを最低限まで減らすのです。
川崎 日本人はわりと聞くのを躊躇しますよね。だからわざと不便にしておくと「すいません」と。書いてあればそれで「まあいいや」と思ってしまいますものね。
永田 ただ、ホテルオークラでも帝国ホテルでも意外と宴会場の場所がわかりづらかったりするのです。その時に迷っているなという気配を察して、従業員が近づくのです。そうしたら感動しますよね。
川崎 しますね。
鶴岡 そういうふうに仕掛けてあるんですよね。
川崎 しまった、気づかなかった。
永田 ビジネスホテルだと全部丁寧に看板がつけてあって、できる限り従業員が言葉を発さなくていいんですよ。
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