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佐藤ひさら
声楽家 ソプラノ
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佐藤ひさら
[インタビュー]
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常に背筋を伸ばし、自分の思いを人に伝える意識を持ちましょう(2)
2007.04.01
[ TOPBRAIN RADIO ] あのひとの美意識を聴く!
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背中を真っ直ぐにすることで気持ちも引き締まり、爽やかな印象を与えるのでそれを心掛けることでいろんなことが好転していくのではないでしょうか
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伝えようとする“意識”を常に持ちましょう
マダム 今日は真っ赤なお召し物で素敵な雰囲気ですね。やっぱり舞台に立たれた時のひさらさんと、日常とはまた違う雰囲気だとは思いますけども。
佐藤 多分根っこの部分では一緒なんですけども、普段はあまり自分をかまってないんですね。やっぱり舞台に立ってる時が自分が生きてるという実感がすごく持てるんです。
植松 ものすごい声量と言いますか、声のパワーをすごく感じますね。大きいホールでの公演だとマイクとか使われるんですか?
佐藤 お使いになる方もいらっしゃるようですが、私達は全く使わずに肉声のみで歌っております。
植松 全く、ですか。
佐藤 はい。
植松 かなりの広さのホールとかもありますよね。
佐藤 そうですね。2千人、3千人のホールで、もちろん席によっては聞こえ方が全く違う場合もあるみたいですけれども。或る時ちょっと狭い千人弱のホールで歌った時にそこがとても響くところで「これは響きすぎだね」なんて言ってたらお客さんに「どうしてあんな狭いところでマイクを使って歌うんですか」って言われて「いや、使ってないんですけど」って言ったことがあります。
植松 そんな誤解を生むほどの大きさに聞こえたということですね。
佐藤 そうですね。よく声量ということを言われますけれども、私達が勉強しているのは響きということで、声がワッと大きいのではなくて共鳴をさせてなるべく声を遠くまで同じように響かせるということを常に研究しているんですね。
マダム なるほどね。
植松 実際、例えば引越ししたての何もない部屋と家具を置いた部屋って全然声の響きが違いますよね。同じように劇場とかホールでもお客さんがいる時といない時って全然音の跳ね返りが違いますよね。
佐藤 違いますね。
植松 だから2千人とかお客さんが入っている状況で声が通るというのは想像がつかないレベルですね。
佐藤 何か念力なのではないかと思いますね。
マダム 念力ですか。私も趣味程度なんですけどもオペラを習っていまして、ラジオでリスナーの皆様に美しい声を届けたいと思ってその勉強をしているんですね。ラジオをお聞きの皆様で人前でお話をしたり講演をしたりする方も結構いらっしゃるので、もしよろしければ美しい張りのある声を日常で出すコツなどひさらさんにお伺いしたいんですけども、いかがでしょうか。
佐藤 私とても声が低いので「喋らないほうがいい」ってよく言われるんですよね。歌の時とは全く高さが違うので発声は違うとは思うんですけども。よく言われることですけども、お腹、丹田に力を込めて声を出せということは歌でも台詞でも言われることだと思うんですけども、それに加えて背筋を伸ばす、と言いますか。由美子さんもウォーキングとかレッスンなさってらっしゃいますよね。
マダム そうですね。体の中心軸はすごく大事ですからね。
佐藤 そうですね、それもすごく大切だと思います。それから私も時々モゴモゴなっちゃうんですけれども、下手でもいいので出来る限り自分の思いを人に伝えようという意識を常に持つ。
植松 意識も持つ。
佐藤 そうですね。例えばお話する時に目を見てお話すると、例え言葉が分からなくても外人って言ってることが何か伝わってくることがありますよね。だから伝えようとする意識がすごく必要だと思うし、伝えようと思えば背中もシャンとするだろうし、お腹にも力が入って張りのある声が出るんじゃないかと思うんです。
マダム やっぱりオペラもイタリア語ですから台詞の内容が分かる方と分からない方、世界各国ですものね。でも伝えたい、歌うということによってお客様の心まで届くわけですものね。
佐藤 そうですね。やっぱりメロディーがありますし、今は字幕というものがありますので、全く言葉の分からない場合は字幕を見て聴いているという方が大半なんですね。私はそれはあまりお勧めしませんけれども、やっぱり「ここの意味を知りたい」と思った時に字幕の助けを借りられるというのはとても便利だな、と思います。
マダム お腹と背中と、あとは気力ですね。
舞台で綺麗に動くための努力
マダム ではプライベートのことなど伺いたいのですけども、日頃自分自身の美について、ひさらさんが意識していることですとか実践していること、例えば美容、ファッション、ライフスタイル、仕草など何かこだわりのことがありましたら、ぜひお聞かせください。
佐藤 はい。やっぱり年を取ってくるといろんなところがたるんでくるので、出来る限り心身ともにたるみたくない、とは思っております。健康オタクでなるべく健康に気を付けるようにしていて、友達でものすごく太っている子がいて、ものすごく食べるし、ものすごくお酒を飲むし、運動はほとんどしないので「そんなことでは年取ってから大変だから気を付けたほうがいいよ」って注意してたんです。ところが勤めている大学で去年健康診断がありまして、その検診を受けたら私の方が数値が全然悪くて。
マダム そうですか。
佐藤 そうなんです。もう20キロぐらい体重が違う筈なのに私の方が中性脂肪が高かったんですね。それで「これはいけないな」と思いまして。それと去年の秋にヴェルディのオペラの「海賊」というのをやりまして、ハーレムの女役でその服装がへそ出しだったんです。それでその衣装が決まった段階で「これは今のままではまずい」と思いまして、もともとストレッチは欠かしたことがなかったんですけれども、気を入れてすごく筋トレとストレッチをゆっくりやったんですね。ゆっくり時間をかけてやって、痩せるまでに1ヶ月半くらいかかったんですけども、それでやっとお腹の辺りの肉が取れてきまして何とかへそ出しを着ても見苦しくない程度になったんです。やっぱり健康が一番大切だし、体が楽器なので歌うのに筋肉も必要ですから、未だに筋トレは続けています。
マダム 筋トレというのはどういうものですか?
佐藤 私はチューブを使って伸ばしたり縮めたりっていう体操をしているんです。
マダム チューブを使われるんですか
佐藤 ええ。チューブ体操というのがあって、そのチューブが量販店なんかで売っているんです。
植松 スポーツ選手がやるものと同じじゃないですか?
佐藤 そうなんですか?いろいろ試してみてそれが自分に合っているんじゃないかと思いまして。全身を使って伸ばす運動とか柔軟体操ですね。やっぱり体が固いと舞台上でなかなか綺麗な動きが出来ないので、それは心掛けています。
マダム そうですか。
植松 そういう積み重ねの賜物の部分もあるんでしょうね。
佐藤 でも全くトレーニングしていない歌い手の方が大半です。
植松 そうなんですか。
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