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高島宏平
オイシックス株式会社代表取締役社長 [ 社長の哲学 ]
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高島宏平
[インタビュー]
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サッカーチームのような運営を目指しています(2)
2006.09.24
[ TOPBRAIN RADIO ] 高橋幸司の仕事の哲学
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オイシックスの社員、メンバーというチームで勝ちたい
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原点は“チーム”
高城 じゃあ現在の業績とか流れみたいなものを少し読んで事業を始められたということだと思うんですけど、そうは言っても最初から世の中上手くはいかないじゃないですか。特にインターネット系はそうだと思うんですけど、インターネット使って野菜を買うということは最初から上手くいくような気がしなくて。創業の頃は大変だったんじゃないですか?
高島 そうですね。おっしゃるとおりで。私達は記者会見を会社のスタートの時にしっかりやったんですよ。100人近くの記者さんに集まっていただいて、大々的な発表をしてメディアにバーンと出て、これは上手くいっちゃうんじゃないか、と思ったんですけど、何が起きたかっていうと何も起きなかったんですよ。何も注文が入らない。全然注文が入らないんで、3人のカスタマーサポートがいたんですが、1日2件しか注文がないんですよ。注文の処理を取り合う、みたいな感じで。ものを売るのは大変だなと思ったんですが、一方でものを買うのもすごく大変で。我々の場合非常にこだわった青果物とか、野菜とか果物の農家さんから買い付けに行くんですけども、インターネットでものを売りたいんで売って下さい、と言っても何言ってるか分からないから帰ってくれ、という世界で。
高城 そりゃそうですよね。
高島 ものを買うのも非常に苦労しましたね、最初は。
高城 インターネットで売れない野菜がインターネットで売れるようになったそのポイントは何かあったんですか?
高島 かなりですね、きっかけ的なものというよりは本当に泥臭い積み上げだったんですよね。当時プロモーションするお金もなかったので、女性向けにサイトをやられているような会社を一個一個訪問して、コンテンツを提供するんでリンクを貼って下さい、みたいなことで。本当に一個ずつ一個ずつ提携サイトを増やしていった、みたいなのがスタートになりましたね。
高城 じゃあかなり地道な積み上げから現在に至ったんですね。
高島 そうですね。非常に地道でしたね。
高城 ちなみに現在の売り上げはどれくらいの規模なんですか?
高島 去年が3月期で26億8千万くらいですね。今は月商3億くらいのペースで推移しています。
高城 30億規模になってきているんですね。社員の方は今何人くらいいらっしゃるんですか?
高島 今、正社員で50人くらいですね。派遣の方とか含めて全部で130人くらい。
高城 それだけの規模の会社を運営していく経営者の立場としていろんなこだわりがあると思うんですよ。いくつかのポイントでお聞きしたいんですけど、まずは従業員に対して何か期待していることや、こだわって接するようなことは何かありますか?
高島 そうですね。もともと私の原点としてチームで成功したい、というところが結構あるんですよ。それは学生時代のいろんな経験が原点となっている気がするんですが、そういう意味ではこの会社も、オイシックスの社員、メンバーというチームで勝ちたい。勝つ、というのはライバルに勝つということではなくて、自分達が満足出来る状態に到達したい、ということなんです。そういう意味では目的意識であるとか、そのためのチームプレーの役割分担であるとか、チームワークであるとかそういったものを徹底的に磨いていきたいということは強く意識していると思いますね。
高城 会社で組織プレーをちゃんとして、大きくしたいということだと思うんですけど、そういうことが自然と身に付いたんですか?昔からそう思ってたんですか?
高島 思いとしては、昔からかなり強かったですね。ただそれをやるやり方というのは今も結構、思考錯誤で勉強中という感じですね。
高城 よく経営者の方で朝礼みたいなものとかあるいは自分の社員に対して話をするじゃないですか。そういう時よく使う言葉を経営者の方は持ってたりするんですけど、そういうの何かあります?
高島 そういう意味ではチームという言葉をすごくよく使います。野球じゃなくてサッカーです、ということをよく言うんですけど、シュートを誰が打ってもいいし、誰が守ってもいいですよね、サッカーの場合は。野球はもうポジション決まってますよね。ショートはショート、ピッチャーはピッチャーみたいな。うちの会社の場合はやっぱり皆がチームワークを持って、チャンスある人がどんどん突っ込めばいいし、誰かがやばい時は補い合ってやっていけばいいし。サッカーチームのように運営をしていきましょう、ということは立ち上げ当初からかなり言ってます。
経営者として人に対して言いたい事、正しい事を言うのが必ずしも有効ではない
高城 じゃあ今度は高島さん自身についてもお聞きしたいんですけども、高島さん自身が日常の仕事をしていく自分の仕事のやり方でこだわりをお聞きしたいんですけど、自分自身が本を読んだり、経営者の話を聞いたりして影響を受けたことは何かありますか?
高島 それはもちろんありますね。
高城 具体的にこんな本読んで、とかこの人に会って、というのはありますか?
高島 経営者としてはやはりネットの会社ですのでアマゾンのジェフ・ベゾスの話とかはよく読みますね。日本の経営者でいうと、よく読む本としてはヤマトの小倉さんであるとか、日本電産の永守さんの本とかはよく読んで参考にしています。
高城 自分自身の中でそういった本を読んだり、経営者の話を聞いたなかで日頃の仕事の中でそれを自分でちゃんと実践されていたり、自分でアレンジして使っているこだわりはありますか?
高島 やっぱりさっきのひとつのつながり、というところに関係があると思うんですけども立ち上げ当初は10人弱とかであると自分の仕事はキャプテンの仕事が多いんですけども、だんだん人が増えるにしたがってちょっとずつ監督っぽくなっていくという感じがあるんですね。人の2倍自分がパフォームするよりは、全体を1.1倍良くパフォーマンスさせたほうがトータルは良い、という風になっていくという中で、なかなかそのやり方というのが自分自身わからなかったんですよね。そういう意味ではそういった方々の本というのは結構参考になっていて、人との接し方とか、チームの作り方とか、要するにコミュニケーションの部分ですね。言いたい事、正しい事を言うのが必ずしも有効ではない、ということを非常に気にしながらやるようになりましたね。
高城 川崎さんは今日の高島社長のお話をお聞きになって何か感じたことはありますか?
川崎 高島さんのお話を伺っているとすごく社内の雰囲気が良さそうだな、と思いました。お客さんに対してもそういうのが出ているから着実にお客さんが増えているのかな、と思ってました。社内の皆さんの雰囲気もチームとして重要視されてますよね。
高島 そうですね。やっぱり一人一人がオイシックスという会社を通してやりたい事というのがすごく強くある会社なんですよね。ですからそういう意味では非常に喜怒哀楽の多い会社で、よく泣きながらケンカしている人達もいますけども、それだけ強くよりよい会社にしたい、より自分のやりたい事を実現したい、と皆が思いながら働いているというところはあるかな、と思います。
高城 それでは最後に高島社長からリスナーの皆さんにこれまでのご経験を生かしてビジネスに活かせる何かアドバイスがありましたら頂けますか?
高島 起業の場合は結構辛いことも多いので、やりたい思いというか折れない心というかそういうのは非常に重要だな、ということを強く痛感してますし、そのプロセスにおいて同じ思いを持っている仲間が傍にいるというのは自分自身を強く保つ上では非常に有効だな、ということを感じていますので、そういう仲間の方を早めに作っておかれるとより成功しやすいのではないかな、という風に感じています。
高城・川崎 なるほど。
川崎 本日はゲストにオイシックス株式会社代表取締役社長 高島宏平さんをお迎えしました。
高城 どうも有難うございました。
高島 有難うございました。
川崎 有難うございました。
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