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香取貴信
香取感動マネジメント代表取締役 [ サービス力 ]
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香取貴信
[インタビュー]
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ディズニーランドで変わった人生観(1)
2006.11.26
[ TOPBRAIN RADIO ] おもてなしの極意を聴く!
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人にお礼を言われると何か「結構、俺でも役に立つのかな」と思い始めて変わっていった。
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不純な動機で始めたディズニーランドでのバイト
川崎 本日のゲストは香取感動マネジメントの代表取締役 香取貴信さんです。
永田 香取さん、本日は宜しくお願いします。
香取 宜しくお願いします。
川崎 宜しくお願いします。
永田 すごいですね、20万部ですもんね。20万人も本を読む人がいることが僕は驚きです(笑)。香取さんというと、とにかく最初のインパクトがやんちゃをしていて、不純な動機からディズニーランドでバイトを始めたというところ。あとはディズニーランドで人生観が変わったというところがすごく印象的ですけれど、その点をぜひリスナーさんにご本人の口からお願いしたいと思います。
香取 はい、分かりました。僕は頭が悪かったので学校で目立つ方法がないんですね。勉強出来ない、スポーツ出来ない、あとはもうやんちゃするしかねえぞ、みたいな感じで、とにかく目立ちたくて俗に言うヤンキーだったんですね。その時付き合っていた彼女がきっかけで、ヤンキーの彼女だからヤンキー(笑)。(女の子は)ディズニーとかサンリオが大好きじゃないですか。
永田 キャラクターもの、大好きですね。それは基本ですね。
香取 それで「行こう、行こう」と誘われて行っていた。ただその時は遊びに行く時は自分がここで働くなんて本当にこれっぽっちも考えていなかった。多分ご経験されたことあると思いますけど、「うわっ、ここ気持ち悪い」みたいな。
永田 (笑)そうですね。
香取 例えばパンフレット開いていれば寄って来て「どちらかお探しですか」と言われたり、写真撮ろうとしたら「お撮りしましょうか」みたいな。「うわ〜、何だこいつら」みたいな感じで、「うわっ、気持ち悪い」と思っていたんですよね。だから本当にそこで働くなんて思ってなくて、ただ彼女がとにかくミッキーが大好きで「会いたい、会いたい」と言っていたのと、そんな経験をしていたので「ここ、絶対時給いいぞ」と思ったんですよね(笑)。
永田 (笑)
香取 だって「金が良くないとあんなにイキイキワクワク働けねえだろう」と思って。
永田 そうですよね。僕もそう思います。
香取 家が近かったのと金が良さそうでミッキーが大好きだったので、「だったら、俺がいっちょうミッキーになってやるか」と。「ミッキーになったらたまに着てみて喜ぶかな」とか、「夜、単車に乗る時もあれ被ったら目立つぞ」みたいな理由ですよ。
永田 なるほど。リスナーの皆さん、これで不純な動機がよく分かったと思います(笑)。 香取さん、最近の主なご活動を教えていただけますか。
香取 はい。基本的には僕はコンサルタントをしているんですけども、今やっている事の多くは講演会やセミナー講師のほうが多いですかね。
永田 年間どれくらいやってらっしゃるのですか。
香取 最初は面白がって数えていたのですが、今はあんまり数えてなくて、多い時で300回位やっていた年もありますね。
永田 すごい!喋りっぱなしですね。
香取 1日2万語喋らないと死んじゃうんですよね。
永田 偶然ですね、僕も1万9千語喋らないといけないので。
香取 殺すのは簡単ですよね。口塞げばいいんですから(笑)。
永田 面白いですね。
川崎 あまりに面白くて聞き入ってしまいました。
ディズニーランドで教わった「当たり前のことを当たり前にやる」
川崎 本にもいろいろ書いてらっしゃるのですが、やんちゃな香取さんがディズニーランドでどう心を変えて、おもてなしの極意まで辿り着いたのかというのを。
永田 ちょっと聞いてみたいですよね。
川崎 ええ。香取さんにとってのおもてなしの極意というのは。
香取 極意というのはそんなに無いですけど、基本的に僕が教わったのは「当たり前のことを当たり前にやりなさい」ということを最初に躾けられた。挨拶であるとか、掃除、整理整頓、返事、思いやり、みたいなこと。要は僕らがやっていることをロボットでは出来ないから人間が必要になりますよね。
永田 そうですよね。
香取 例えば自動販売機はお客さんの心を読めないですから、「この人、今日も来たな〜」とか言って「今日はコーヒーでいいかな」と出さないじゃないですか。でも僕ら人間はそれが出来ますよね。相手と言葉交わさないでも、顔色、表情、雰囲気とかを見て、今この人は何考えているのかを察して、その時アクションを起こそうとするのが多分思いやりだと思うんですね。
永田 ディズニーランドは先程言った「気持ち悪い」と思う人がいるくらいの本当に働きたい人が働いているのかな、と。やはり究極のサービス業の強い施設やお店は、働きたくて働いている人達が集まったお店だと思うんですよ。
香取 そうでしょうね。
永田 香取さんが最初その不純な動機から入ってから、どのタイミングから働きたくなってきたのか聞いてみたいのですが。
香取 時間軸で言うと、1年位はやはり辞めようかなと。オセロみたいなものですよね。白になったり黒になったり白になったり黒になったりして。大体1年位の時に初めてお客さんからゲストレターみたいなものを貰って、「なんだ、結構ありがとうと言ってもらえるんだ」と。今までやんちゃしていて人に優しくなんかしていないから、投げた球は返ってきませんよね。でも例えば写真撮るにしても、僕は指動かすだけなので全然疲れないですよ。「はいポーズ」という、これだけでしょう。
川崎 ディズニーランドでは従業員の方が「写真を撮りますよ」と声を掛ける。
香取 撮ってあげる、この動作だけなのに、カメラを渡してあげるとものすごい喜んでくれたりするわけです。もう時代が違ってそれが当たり前になっているから今はちょっと違うかもしれないですけど。今まで自分が選んだ道ですけど「俺に寄るな、近寄るな」というオーラを出していたから、あまり人に優しくもされなかったし、お礼も言われたことがなかったし、良いことをしたこともなかったけど、そんなことを言われると何か「結構、俺でも役に立つのかな」というのを徐々に思ったり。あとは仲間から・・・一番大きかったのは先輩ですかね。
永田 本の中にも恐ろしい上司を始め、ちょっと甘えたくなるような人もいて、いろいろな人が出てきますよね。
香取 そうですね。その先輩らにいろいろ教わったり、また褒めるのが上手かったりするわけですよね。
永田 それはゴーカートの上司の方ですか。
香取 そうですね。白田さんというんです。
永田 何でもすぐ「じゃあ、それを取り組む委員会をしよう!」と言うんですよ。例えば香取さんが「こうしたほうがいいんじゃないですか」と言うと、そうしたら「香取君、良い事気付いたね。じゃあ何とか委員会の委員長お願いします」みたいなノリノリな上手い乗せ方をされて。
香取 笑えるんですよ。
川崎 どんな小さな事でもちゃんと真剣に向き合ってくれるんですね。
永田 遅刻して来たら怒られるかなと思っていらっしゃるんですけど、「香取君が事故にでも遭ったんじゃないかと思って」と本気で言うわけですよ。もうこっちも逆らいようがないですよね。吸い込まれちゃいますよね。
香取 そうですね。面白いですよね。だからそんなふうに真剣に親兄弟、親戚以外で心配される事はあまりなかったから、最初は疑ってましたよね。「なんかこの人、裏にあるんじゃないか」思ってて、でも段々、「もしかしたら本当に俺の事心配してくれてるのかな」と思い始めると「この人に何とかそれを返したいな」という思いに変わってくるというか。
川崎 そういうのは伝染するんですかね。
香取 多分するんじゃないかなと思いますよ。
永田 僕もやはり中高はあまり良い子ではなかったんですけど、飲食業界もそういう子が多いんですよ。
香取 うん、そうでしょうね。
永田 結構、そういうタイプのほうが外食やサービス業に向いてるんですよ。何でかと言うと、上司と家族以上に一緒にずっと過ごして、「返したい」という思いで皆が上がっていくんですよね。
川崎 なるほどね〜。
永田 だからそういう上司に出会えた人、またはそういう部下になろうと思えた人というのは、やはりサービス業でどんどん上がっていかれますよね。その優しいけど一番密だった上司の人は本にも書いてあるんですけど、無茶苦茶怖いんですよね。
香取 怖いですよ。僕の前で僕を絶対褒めてくれないんですよ。
川崎 その両方のタイプの方がいたのがすごく良かったですね。
香取 良かったですね。
永田 すごい良い出会いだな、と思って。僕も従業員にいつも言っているのは「挨拶は目を見て、例えば『香取さんおはよう』と会社の従業員同士も名前で、固有名詞で挨拶をする」とか、「ありがとう、ごめんなさいが言える」とか、「人の嫌がる作業は自分がやろうと思う気持ちだけでよくて、ミスはなんぼやってもいい」というのがうちの会社なんですけど、香取さんがおっしゃったことでより一層自信が出てきたかなと思ったんです(笑)。
香取 いえいえ(笑)。
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