「神田昌典が時代を読む」この番組は作家として、また経営コンサルタントとして活躍する神田昌典さんにこれからの世の中のトレンドを見通していただき、ビジネスパーソンが激動する時代をいかに乗り越えていくべきか、アドバイスをいただきます。それでは神田さん、第3回目のお話をお願いいたします。――――よろしくお願いします。
いよいよ3回目となりました。先ほど、クボタさんが説明しているときに私は笑ってしまいまして、タイトルと僕が話している内容が全然違うと思ってしまいましたけども、今まで2回に渡ってお話してきたツールをわかっていただくと時代認識が読めるので、また次回、この時代認識についてはきちっとした形でお届けできるのではないかなと思って、今日もめげずに第3回目、僕の話したいことを話していこうかと思います。
今日は、個人を見通すということですね。個人の未来予測というわけではないですけども、要するに個人は一体どういうときに会社を転職したらいいのかとか、そういう判断は結構大事なんですね。これをちょっとお話したいと思います。
個人の将来を予測するということになりますと、これは一般的に占いというふうに言われているのですが、僕は占いというよりもバイオリズムというふうに考えています。
これを僕はどういうところで発見したかと言いますと、以前私は経営者の方々からだいたい年間2千件ぐらいの相談いただいていたんですね。2千件の相談と言うと、朝から晩まで20分おきに電話を受け取るというような状況なんですけども、それを2年ぐらいずっと続けたことがございまして、そのときに集中していろいろな経営者の話を聞いたときにフッと思い浮かんだことがあるんです。
それはどういうことかと言うと、ある経営者が2人いたとして、経営者Aと経営者B。こちらの方々と私が電話でお話を聞いていますと、どちらも優秀な方なんですね。どちらも今まで話してきたような参入タイミングもきちっとわかっていらっしゃる。それにどちらもいい商品を見つけ出して、持っている。
このように非常に条件が似かよっているんですけども、ある人は数年後に全く予期しないような事情で市場がなくなってしまうことがあったんですね。逆にある人は常にうまくいっている。この違いは一体何なのかと。
経営コンサルタントは相談に対して責任を持つことでお金をもらっていますので、私が学んだMBAの理論だけではそこがわからなかったんですね。
そこについて疑問を持ちながらもいろいろな経営者の話を聞いていますと、うまくいく経営者には何か特徴がありまして、つまりどうも起業するときに2年間の起業準備期間があるということが、みな同じなんです。
そういう人に限って、撤退した方がいいタイミング。全く誰もが撤退していないで、なんでこんなおいしい市場から撤退するのかというふうに誰もが疑問を持つときに、胸騒ぎを経営者が感じて撤退して、撤退した途端に新聞発表があって市場全体が大きく揺るがされてなくなってしまうことがあるんですね。
これは一体何なのかということを非常に不思議に思って研究し始めたところ、わかったお話がありまして、それは人生というものを12年間のサイクルで見てみると非常に説明がつくということがわかり始めてきたんです。
12という数字はそもそも小中高校までが12年間ですよね。さらに還暦というのが60。12の倍数の60であるということで、別にどのサイクルを取っていただいてもいいのですが、私がいろいろやると10年でも20年でもいいんですけども、12というところで区切っていただくと、非常に説明しやすい。自分にとってもわかりやすい人生プランが描けるんですね。
12年の周期で回っているということはどういうことかというと、例えばうまくいく起業家の準備期間の2年間というのは実を言うとその前後を入れると大体3年間ぐらいなんですね。要するに起業しようと思いつくまでに半年ぐらいあって、実際に起業しようと思ってから準備を始めて起業をするまでに半年ぐらいある。ということで、大体3年間ぐらい植物で言えば種の時代があるということなんですね。
その12年間をまさに植物と考えてみるとわかりやすくて、今まで話した3区分というよりも、4区分のほうが説明しやすくなるので、私はあえて季節を使っています。
冬から始まる季節で考えますね。そうすると冬の時代と春の時代と夏の時代と秋の時代ということがあります。12年間をこの4つに分けていきますから、それぞれ3年間になりますよね。
すなわち人生の四季というのは、それぞれが3年間あるということなんです。冬の時期、春の時期、夏の時期、そして秋の時期と3年ずつ回ってくる。だからわかりやすく言ってしまいますと、先ほどの起業家のうまくいく人というのは、冬の時期に3年間いろいろあれこれ試行錯誤して悩んで、土壌耕し、種を植えてという3年間で変わってくるんですね。
春になると芽が出ますから、そのときに起業タイミングをきちっと合わせた人はどんどん芽が出るわけですよ。非常にいい感じでいくんですね。ところが秋の時期というのはどういう時期かと言うと、今度はだんだん寒くなってきますよね。そういうときにこれから花を咲かせようと思ってもやはり非常に難しいわけです。
ですからさきほどの経営者A・Bという人と対照しましたけども、そのときに同じ実力ながらある人はうまくいって、ある人はうまくいかないということを見ていたら、やはり自分の人生のサイクルにおいて新たなものごとを起こすタイミングが違うということがわかってきたんですね。
それを私はいろいろな方と相談しながら実際の経営者の方々の事例を見まして、こうやっているのは非常に占いに近い分野ですので、非常に信頼のおける占いの先生に「占いの理論ではどうなっているのですか」と聞きましたら、占いの理論も非常に似かよったところがあって、占いの理論を春夏秋冬でわかりやすくしたら先ほどのような説明になるわけですけども、そうすると今まで中国三千年使われた占いの分野というものが、誰しも自分で12年間サイクルを見ることによって自分の今後どういう方向にいったらいいかというのが予測できる。そういった春夏秋冬理論というものができあがったわけですね。
でもできあがったと言っても私は経営者として実例に基づいて検証していったわけで、これを占いというふうに言う人もいるんですけども、僕は非常に役に立つ考え方なのかなというふうに思っています。
例えばどういうことがあるかと言うと、ある経営者はこの話を聞いたら、12年ごとの年表を作ってみたんですね。そうするとわかったことが1つありまして、12年前に車の事故で骨折してしまったと。さらにその12年前は鉄棒から落ちて手を骨折してしまったということで、12年ごとに見ていくと「何か同じ時期に事故が起こっているぞ」ということがわかったんですね。こんなものは単なる偶然だというふうに割り切っていただきたいのですが、遊びとして考えていただければ実際にそういったサイクルがあると発見されるケースもあるので、みなさん12年前自分はどんな人生を送っていたのか、どれだけ頑張っていたのか、それはあえて例えれば冬のように試行錯誤する時期だったのか、それとも春のように何か芽が出てきてワクワクし始めたのか、夏のように放っておいてもどんどん人から評価される時代だったのか、それとも秋。秋というのは収穫ですから、普段の自分のままにもかかわらず非常にいい縁が得られたとか、いい人に出会えた。もしくは逆に切れた縁。恋人と別れてしまったとか、あるいは本当に重要なビジネスパートナーと別れてしまったとか、そういうことが起こったのかどうか。こういう季節のメタファー。すなわち隠喩、例えを使ってみなさんの人生の過去を振り返っていただきますと、今、自分がどういう課題を持っているのかというのがわかりやすくなってくるわけなのです。
この春夏秋冬理論は人生のサイクルというものを見出して、自分のライフ設計をしていくという考え方で、経営者の間で流行っている考え方なのです。これだけいろいろな情報がありますと、合理的な理論だけではどうしても経営者の人生というのは決定できないことがありまして、そして生み出した理論なんですが、それが瞬く間に経営者や中小企業の経営者の間に広がって、今はOLの方であるとか、それからサラリーマンの方であるとか、自分のキャリアプランニングを真剣にやられる方にとっては非常に便利なツールとしてさまざまな媒体で紹介されています。
ここに本がありますけど、これは僕が5、6年前に書いた本で「なぜ春はこない?」という今から考えると変なタイトルですけども、「どうしてある人は春が来て、ある人は春が来ないのか」ということで12年の周期というものを説明した本ですが、この関連シリーズが今出ていますので、是非「春夏秋冬理論」で検索エンジンで調べていただくと、シーズンズという会社が私の理論を気に入って解説しているホームページがございますので、そちら見ていただくと自分の季節が今いつなのかなということも簡単に検索できますので、見ていただけたらなというふうに思います。
(2)に続く