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宋文洲
ソフトブレーン株式会社マネージメントアドバイザー [ 営業 ]
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宋文洲
[インタビュー]
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やっぱり変だよ日本の営業/日経BP企画(2)
2005.05.01
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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私の考え方が広がれば、日本はまだまだ大きな成長力を 持っている国だと思います
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まずは、事実を現場から把握する仕組みを作ろう
【主藤】 非常に勇気が必要な決断だと思いますが、今は営業支援のITシステムをされているのですか?
【宋】 正確に言いますと、私どもの会社業務は、営業だけではありません。いわゆる製造以外の業務の効率化が狙いです。
ただ、その代表格が営業で、その後はマーケティングですし、あと皆さん意外に思うでしょうが、日本は開発部門もコストが悪いんです。開発コストが高いと、非常に効率が悪いんです。
【主藤】 製造は、本当にいいんですね。
【宋】 ええ、製造はいいんですよ。設計図があれば、その設計図通りいい物が沢山作れますね。けれど、設計図の開発というのは、時間がかかるんですね。
そして、コストもかかります。結局今まで全部、製造の効率のよさで他の部分を吸収してきたんですよ。私の会社は、この営業のみならず、マーケティングと技術開発の部門もどういうふうにマネージメントすれば、もっと効率がよくなるか、そのコンサルタントをしています。
それからコンサルタントいうだけで社長はわかっても社員がわかりませんから、それをソフトウエアに定着させ、携帯からも使えるようにして、社員が沢山いてもいなくても全員が実行できるようなソフトウエアを両方にセットして世の中に広げて、ようやく効果が出ていますね。
【主藤】 ということは、営業というなかなか目に見えにくいものをソフトという形で支援し、効率化を追及してあげるということをご商売にされているわけですね。
【宋】 おっしゃる通りです。今、お言葉に出た「見えない」、これがキーポイントですよ。
つまり、見えないから問題が発見できないんですね。トヨタ自動車でいえば、要は改善のはるか前に見えないと改善しようがないのです。どこが悪いのか、お医者さんでいうと病気がどこかわからないように、わからないうちにお薬を出してもしょうがないでしょう?
だから、営業を見えるようにするには、やはり従来の日報や会議ではなく、実際に事実を現場から吸い上げる仕組みですね。
これは音声ではなく、携帯電話が一番いいんです。
【主藤】 携帯電話は、その場ですぐできるからですか?
【宋】 メールや音声で報告させるわけでもなく、その場で方法を書いて、普段チェックしたいポイントに関しては、会社で蓄積しておくんですよ。 特にこの時は、マネージャーの頭が必要ですね。普段の問題意識です。それをアンケート方式みたいな感じで、インターネットに置いておきます。
【主藤】 なるほど。サーバーの上に置くのですね。
【宋】 そうです。
営業の敗因を選択式で誘導することが、社員へのコーチングへつながる
【川崎】 例えば、どういうものがありますか。
【宋】 例えば「今までの営業、負けてしまいました」と営業マンが帰ってきますと、それは自分が頑張ったのに「お客さんが理解してくれないから負けた」とか「うちの商品力がないから負けた」と言い訳をするんですね。
確かに、そうかもしれません。でも企業としては、負ける理由が他にもあるとわかっていますから、競合他社のチェックポイントを入れたり、負けたとしても、負けた理由を全部調べておくんですよ。
【主藤】 なるほど。
【宋】 その理由などを選択方式に設定しておきます。
【主藤】 あらかじめ、選ぶだけの状態にしておくわけですね。
【宋】 「どれにあたりますか?」と社員に聞きます。そうすると、なかなか主観的になりにくいでしょう?言い訳しにくいんですよ。
【川崎】 すごく教育になりますね。上司がわざわざ同行しなくても、その人に理由を足してあげると。
【宋】 鋭いですね。トレーニングやコーチングになるんです。
人間は「なぜわからないか」というと、「これとこれとこれ」と複数可能性を言うけれど、「どれにあたるか」と聞いたら1回でわかるんですよ。
つまり、可能性をちゃんと分けないで、「どういう理由ですか」と聞いたら、自分の都合のいいように関係ないことを言うんですよ。そう思いませんか?
【川崎】 そう思います。
【主藤】 ありがちですね。
【川崎】 ダメなところを隠しますね。
【宋】 例えば車が売れない理由を、これだと分解すれば、10個もないんです。
性能、値段、安全性、内装ですとか、10個もありません。車がおいしいから、おいしくないからと思う人は、いないじゃないですか?
【主藤】 いませんね。
【宋】 この理由を分けて携帯に出しておいて、売れない理由、あるいは売れた理由を「どれにあたりますか」と、実際に納車した奥さんにでも聞いてご覧なさい。 ほとんど100%返事が聞けますよ。
ところがこのアンケートの誘導がなければ、「どうして買ってくれましたか」を聞いても、奥さん「主人が同じメーカーに勤めているから買った」とか「隣の王さんがそう言ったからうちも買いました」とか適当に言いますよ。
【主藤】 本音を言わないですよね。
【宋】 本音というか、隠してはいないけれども、思いつきで言います。
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