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伊東明
株式会社東京心理コンサルティング代表取締役社長 [ コミュニケーション ]
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伊東明
[インタビュー]
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「聞く技術」が人を動かす ビジネス・人間関係を制す最終兵器/光文社(1)
2006.06.11
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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「人の話を聞く」ことは、その裏にある背景に ものすごく深いものがあると思うのです。
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企業研修と恋愛相談という意外な二つの顔
【高城】 今回のゲストは光文社から出版されております、新書と文庫合わせて7万部を突破したベストセラー「「聞く技術」が人を動かす−ビジネス・人間関係を制す最終兵器」の著者、伊東明さんです。 伊東さん、本日は宜しくお願いします。
【伊東】 はい、宜しくお願いします。
【高城】 今、手元に伊東さんの本があります。 ブルーの字の周りに兎のかわいい絵がありまして、伊東さんの肩書きとしては「心理学者」と書いてありますね。
心理学者としてだけではなくて、大変幅広くご活躍されていると思うのですが、最近の伊東さんのご活動の中心はどのあたりか教えて頂けますか?
【伊東】 大きくわけて2つあります。 1つはマスコミで雑誌連載や雑誌にコメントしたり、本を書いたり、こういったラジオにも出させて頂いています。 もう1つはビジネス系で研修やコンサルティングを多くやっています。
プラスしてワインエキスパートという資格も持っているのでワイン講座をやったり、ソムリエさん達に接客を教えたりもしています。
【高城】 そういう接点があるのですね。
【川崎】 ソムリエさんも知識が豊富かもしれないけれど、接客はまた別ですものね。
【伊東】 そうですね。話し方や聞き方、立ち居振る舞い、注ぎ方1つでも全然イメージは変わってきますからね。これを心理法則に照らし合わせて教えています。
【高城】 本のご経歴にもありましたが、割と女性の心理的な部分と男性の心理的な部分、両面でお仕事されていると思うのですが、男性的、女性的だとかなり仕事の空気が違ってきますよね。
【伊東】 そうですね。例えば女性誌に出て恋愛のコメントをする時には、格好からしてジーンズをはき、シャツを着て、時にはネックレスをつけて少しちゃらく見せて、「恋愛については結構知っているぜ」というインプレッションを作りますよね。
逆に企業に行く時には、真面目に紺のスーツに紺のネクタイをして、「宜しくお願い申し上げます」と言って腰を低くしていますからね。
【高城】 今日は中間ぐらいですかね。
【伊東】 そうですね。今日は中間を狙ってきました。
【高城】 この書籍ですが、私がパッと見た瞬間、男性サラリーマンの方が手に取る気がするのですが、実際に読んだ方はどんな方が多いのですか?
【伊東】 私もやはり発売前は購入してくださる方はおそらく男性が多いだろうなと思っていたのですが、ある書店の調査によると4割ぐらい女性が買っているということで、蓋を開けてみたら意外に女性の読者が多かったんですね。あと関西でわりと売れたみたいですね。
私の本は関西の方で結構売れることが多いのですが、理由を自分なりに考えると、関西はコミュニケーションをすごく重視するではないですか。なので、私はコミュニケーションの本が多いので、もしかしたら「NG、OKダイアログが関西の人からみるとおもしろいのかな」と勝手に分析していますけどね。
【川崎】 本の中に「こういう会話はNGだよ」「こういう会話はOK会話だよ」という例がたくさん書いてありますね。
【高城】 女性から見て川崎さん、本を読んでいかがですか?
【川崎】 伊東さんのお名前を、雑誌だったり、女性に人気の占いや心理を書かれている方の帯で拝見しているので、女性で手に取る方も多いのではないかなと思いましたね。
【伊東】 確かに企業研修に行くと、「アンアン」を読んでいる方は多いですね。 「恋愛専門の人がなぜこんな企業研修に来ているの」という意外な顔はよくされますけどね。
【川崎】 本からは「恋愛の達人」のイメージがあるのですが、でも今日は違いますよね。
人と話すときは相手が8割、自分が2割、話すつもりでちょうどいい
【高城】 今回のテーマは「聞く」ですが、どうしても営業やビジネスというと「話すこと」が中心になってきますよね。 「聞く」という行為がビジネスや人間関係において影響を及ぼすのはどの程度ですか?
【伊東】 9割ぐらいは占めますかね。私も本を書いたあとに気付いたのですが、「聞く」は単に「聞く」ことではないのです。
「人の話を聞く」ということはオープンマインドであることであったり、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢であったり、ものごとを謙虚に受け止める心であったり、その裏にある背景にものすごく深いものがあると思います。よくあるNGパターンとして、人に好きになってもらおうとして、ぺらぺらしゃべってしまう人が多いですよね。
【高城】 そうですね。
【伊東】 ところが人の欲求は逆で、どういう人を好きになるかというと、やはり聞いてくれる人です。
改めて考えてみれば誰でも思いつくのに、いざ自分がしゃべるモードになってしまうと、「ほら、いい話でしょう。おもしろいでしょう。私のこと好きになって」と積極的に話す。でも、「じゃあ、あなた、どういう人嫌いですか」という質問があると、「一方的にべらべらしゃべる人です」というように、つい話しすぎてしまいますよね。 わかっているのにやってしまうことが非常に多いですからね。
【高城】 なるほど。やはり一般的に「聞くこと」が下手な方が多いですかね。
【伊東】 上手な方が圧倒的に少ないですよね。 例えば私はタクシーに乗ったり、レストランで接客を受けたり、営業マンの営業を受けたりして「この人は何対何ぐらいで聞ける人かな」と時間を計るのです。
【高城】 何対何、というと?
【伊東】 30分間営業マンと話したら「この人が何割しゃべって、私に何割しゃべらせてくれたか」というと、9割ぐらいずっとしゃべっている営業マンが非常に多いですよ。 お客さんの話を聞いていない。ただ自分の言いたいことを言ってしまう。
たまにできる営業マンの人は、5-5ぐらいで私の話もちゃんと聞いてくれる。彼もきちっと話をして、バランスの取れている人。意外にいそうですごく少ない。少ないからこそそういう人がいるとすごく目立つ。 みんな「この人は聞き上手だから感じがいいんだな」というのはわからないけど、無意識レベルで「なんかこの人感じがいいなあ、私を大切にしてくれているなあ、あっ尊重してくれているなあ」というふうに無意識レベルで好印象や信頼感をおそらくゲットできるのでしょうね。
【高城】 もしかすると相当聞いているつもりでも、半々ぐらいなんでしょうかね。
【伊東】 そうです。私は本の中で「8-2」と書いていますけども、「5-5でいいですよ」と言ってしまうと、しゃべっている時間が短く感じるのです。「5-5でいいですよ」と言うと、3-7ぐらいで自分がしゃべってしまうパターン多いですね。
ですから本の中であえて「8-2」と書くことによって、8-2ぐらいイメージしておけばさすがに6-4、自分の方が4、相手が6しゃべるぐらいで聞き役にまわることができます。誰でもできるということで、あえて8-2を勧めているのです。
【高城】 聞くのが苦手なのは、なぜですかね。
【伊東】 そもそも人間の欲求として、まず「私の話」というのがあるからですよね。あなたの話は別に悪意があって聞かないわけではないけれども「まず聞いてください」と。「聞いてくれたら私も聞けるモードになりますよ」という欲求の優先順位の問題もあるし、教わったことがないのがすごく大きいと思います。
小学校、中学校、高校、大学で人の話の聞き方、聞くことがいかに大事か、8対2で聞くなんて誰も教わらないですよね。唯一教わることといったら、「人の話は黙って聞け」とか「先生の言うことはちゃんと聞け」で終わってしまいます。聞き方を教わったことがないから、ある意味できなくて当たり前。たまに天才型で教わらなくても知っている人がいたとしても、ほとんどの人は聞いたことがない、教わったことがないからできないのが多いと思います。
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