|
|
片桐 明
株式会社コストダウン 代表取締役/インターネットFAX総合研究会 特別研究員
|
|
第8回 インターネットFAXで実現できる4つのメリット
2011.11.14
|
|
|
コスト削減の一手法として、 FAXからインターネットFAXに切り替えることを提唱したが、 インターネットFAXを使う具体的なメリットは他にもある。
ポイントは大きく分けて4つだ。
■メリット1 コスト削減
1番目に、これを紹介しない訳にはいかないので、 重複してしまうが説明させて欲しい。 特に、業務の効率化を行いながら コスト削減に取り組めるという点を、評価している。
○初期費用の削減 従来のFAXは、FAX回線を増設するときに契約料や、 施設設置負担金が必要となる。 インターネットFAXはFAX機を使わないので、回線を引く必要がない。 インターネットFAXは、初期費用0〜3,000円程度で抑えられるサービスがほとんどなので、 まずは、ここで大幅なコストカットが可能だ。
○ランニングコストの削減 ランニングコストの内訳は、大きく分けて3つある。 通信費、FAX機リース料金、紙代・トナー代・カウンター料金 である。 これらの出費項目は、インターネットFAXを導入することで大幅に削減することができる。
1.【通信費】 ・回線使用料/基本サービス料金 従来のFAXは、月額費用(例:NTT一般加入電話2,625円、KDDIメタルプラス2,520円、 ソフトバンクテレコムおとくライン2,467.5円)がかかる。(3級取扱所の場合)
比べて、インターネットFAXは1,000円前後のサービスがほとんど。 例えば、NTTコミュニケーションズの050グリーンFAXは1,050円。 NTT一般加入電話と比べると1,575円の得。 年間に換算すると18,900円もコスト削減できる計算になる。
・送信費 従来のFAXの場合、電話回線と同じ料金がかかる。 距離によっては倍かかることも想定しなくてはならない。 (横浜→東京間31.5円/3分、横浜→大阪間84円/3分)。 インターネットFAXの場合、距離に関係なく一律で料金を設定しているのが特徴だ。
NTTコミュニケーションズの050グリーンFAXは8.4円/3分、 KDDIペーパーレスFAXは15.75円/枚など、 送受信の料金は通信時間、もしくは枚数ごとの課金となる。
たとえば、従来のFAXは 横浜→東京間31.5円/3分だったのが、 インターネットFAXで8.4円/3分に減らせれば、 約3分の1のコストになる。
2.【FAX機リース料金】 従来のFAXの場合、複合機を利用する際はリース料が必要だ。 インターネットFAXは、FAX機が不要なので、月々のリース料が不要になる。
3.【紙代・トナー代・カウンター料金】
インターネットFAXは、紙を使わずに送受信が可能だ。 受信したFAXは内容を確認し、必要な分だけ印刷すればいいので、 紙の消費を抑えられる。
また、業務用の複合機を導入する場合は、 プリントアウト1枚ごとに 数円〜十数円のカウンター料金を メーカーに支払うという保守契約を結んでいるのが一般的である。 このカウンター料金は、FAXを受信したときや、パソコンから出力したときにも発生する。
インターネットFAXなら、この料金も削減できる。
■メリット2 業務の効率化
○情報管理の効率化 紙の文書は、膨大な量になると管理をするのが大変だ。 インターネットFAXなら、 受信したFAXデータをそのままパソコンで保存ができるため、 手間なくデジタル管理が可能になる。
たとえば、他社と進行中のプロジェクトで送受信した FAXデータをパソコンで1つのファイルにまとめたり、 コールセンターに送られてきた申込書を地域別に分けるなど、 容易に仕分けができる。
○ビジネススタイルの効率化 インターネットFAXは インターネットにつながったパソコンと携帯があれば いつでもどこでもFAXを送受信できるので、 オフィスに縛られない働き方が実現できる。
【ある小売業の事例】
営業担当者の外回り中や出張中に、顧客からFAXで送られてきた、 急ぎの注文書に対応できず、ライバル社に顧客を取られることもありました。
インターネットFAXを導入してからは、A社の営業担当者は 外出先でも顧客からのFAXをノートパソコンや携帯で迅速に確認できるようになり、 結果、機会損失を減らすことができました。
○情報伝達の効率化 インターネットFAXは社内の情報伝達が格段と楽にする。 受信したFAXデータを 部署内もしくは他部署の必要な人に一斉に転送できるため、情報が瞬時に伝わる。
【ある物流会社の事例】
配送する荷物の準備や、到着した荷物の荷降ろしなどの 倉庫での作業が多いにも関わらず、 仕事の依頼や緊急の連絡などはFAXでやり取りすることが多いため、 FAXを使うために毎回、事務所に戻っていましたが、 インターネットFAXの導入により、 倉庫で作業をしているときも携帯電話からFAXを確認できるので、 情報伝達の効率化を実現できました。
■メリット3 セキュリティの強化
オフィスのセキュリティを強化するとき、落とし穴になるのが紙文書の管理である。 NPO日本ネットワークセキュリティ協会の2010年の調査によると、 情報漏洩の原因となる媒体は、1位が紙媒体、2位がUSBなどの記録媒体、 3位が電子メール。 このうち、紙での漏洩が6割以上も占めていた。
紙のFAXの場合、届いた文書がFAX機に放置されたままになっていると、 間違えて社内の人間が持って行ってしまったり、 いらない文書と間違われて捨てられてしまう恐れもある。 紙は紛失すれば復元できないので、管理には細心の注意を払わなければならない。
その点、インターネットFAXなら担当者が直接データを受信できるため、 放置されたままになることはない。
【ある行政書士の事例】
許可・申請書類をFAXで受け取っていますが、 顧問先の会社が多く、毎日大量の書類が届きます。 文書の保管や整理が大変で、必要な文書がなかなか見つからないこともあります。 さらに、受信FAXが放置されて紛失することもあり、 セキュリティ対策も気になっていました。
インターネットFAX導入後、パソコンやケータイでFAXを受信して そのままデータで保管できるようになったので、 文書の整理や管理がとても楽になりました。
紙は容易にコピーをとることができ、 外に持ち出した書類を紛失してしまうミスもあり得る。 セキュリティ強化のためには 紙文書から電子データ化へと移行するのが最善の策ではないだろうか。
■メリット4 省スペースの実現
【事務所のスペース有効活用】 インターネットFAXはFAX機が必要ないため、 社内に一台複合機や小型のFAX機があれば充分。 台数が減ればスペースも空くので、 小さな店舗、SOHO、事務所など、手狭な場所を広々と利用できるようになる。 また、飲食店の様な事務機器を必要としない業種でも、インターネットFAXは役に立つ。
【ある飲食店の事例】
決して広くない店内なので、スペースを有効に利用したいのです。 FAXはたまに宴会などの予約を受け付けるために使う程度で、めったに使いません。 そのため、普段あまり使わないFAXのために、スペースを無駄に使うことに悩んでいました。
インターネットFAX導入後、FAX機や複合機などが不要となり、 これまでFAXを設置していたスペースが有効活用できるようになった。 また、FAX用の回線も不要になったので、固定費を大幅に削減できた。
このように、業種によって感じるポイントは様々だが、 省スペース化によるメリットは大きい。
また、文書など「紙を保管するスペースのコスト」というものが 実際に存在しているも忘れてはならない。 紙を保存する為に倉庫を借りたりキャビネットを買い揃えたり、 紙を増やし続ければそれに付随するコストもかかるのだという点は意識しておくべき点である。
インターネットFAXに切り替えて紙の量が減れば、 紙の保管スペースを減らすことが可能だ。 オフィスの保管文書の50%が紙と電子データで重複しているというデータもあり (日本レコードマネジメント株式会社調査)、とくにFAXは受信した文書だけではなく、 送信した文書も記録として残しておく傾向がある。
増え続ける文書をストックしていくと、 いくら保管スペースがあっても足りないし、 なかなか気付きにくい点でコストがかかっているということが、ご理解いただけただろうか。
今回は、インターネットFAXの具体的なメリットを4つのポイントに分けて紹介した。 FAXという、普段着目していない部分でも、 まだまだ改善の余地があることがお分かり頂けたと思う。 そして、ここまで来ると、実際にインターネットFAXに関心を持ち始めた方も多いと思う。 そこで次回は、実際にインターネットFAXを導入する際のポイントについて解説していこう。
執筆者:片桐明 インターネットFAX総合研究会特別研究員 株式会社コストダウン 代表取締役社長
|