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片桐 明
株式会社コストダウン 代表取締役/インターネットFAX総合研究会 特別研究員
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第10回(最終回) 「ペーパレス化」−このキーワードの奥底に隠されたその真の革新的意味!
2011.11.18
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多くの企業が上半期を9月末日で終了し、下半期の計画を立案している最中、 企業を取り巻く環境はまた大きな試練を余儀なくされることになった。
そうでなくても今年は3月11日に東日本大震災が発生し、 4月からの期初早々に、被災者の方々、被災地のみならず 多くの企業がその影響を受けることになった。
そして7月から始まった第二四半期は 日本全国にある原子力発電所の停止により 夏場の節電で生産、稼動は大きく足をすくわれた。
そして節電が落ち着いた第三四半期、まさかのタイの洪水、 記録的な円高、長引く欧州危機で、今期下半期に上半期の業績を挽回しようとしていた所に 下半期も大変、厳しい状況にさらされることになった。 東京電力はもとより、パナソニック、TDKが次々と人員削減を発表した。
こうした状況の中、コストダウンは最早、 抜き差しならぬ取り組み事項として、かつてない程に優先順位が高まっている。
売上拡大が計画通りにならない中で利益を上げる為には、 極限まで無駄なコストは削減しなければならない。
売上拡大に比べてコスト削減はその成果が確実に見込める。 無駄なコストは1円たりとも見過ごすことは出来ない。 社員の生産性向上も強く求められることだろう。
今夏の節電対策として在宅勤務を実施した会社、 経験した社員は通勤という移動時間がどれだけの体力消耗と 付加価値を生み出さない非生産的な活動であるかを改めて認識したのではないだろうか。
ペーパレスに絡めれば資料を探す、ペーパーである、 あるいはペーパー化する為の時間が如何にロスであるかがわかるというものである。
生産現場ではその効率化に向けて 古くから材料や加工品そして人の移動距離や移動時間がロスであるとして、 徹底的に効率化に取り組まれてきた。
これからは生産以外の職種、 すなわち営業、企画、管理、総務、経理というような職種でも ロスを如何に減らすかが大きなテーマになるに違いない。
今夏、フリーアドレス(社員が自分の特定の机を持たず、 空いているスペースを使う)に取り組んだ企業があるように、 これからは会社内のみならず、どこでもいつでもすぐにその空間を会社と同じ空間、 仕事空間にすることこそ、人の生産性向上の最大の取り組み事項になることだろう。
とすれば絶対、必要になるのが携帯電話、パソコン、ネット接続環境である。
さてここでビジネスツールとして何がない?何が足りない? それはプリンター、コピー機、FAXである。
しかし、プリントアウト、コピーはやろうと思えば、 ビジネスラボ、コンビニ、ネットカフェですることが出来る。
FAXは出来ないことはないが、送信は人に委ねることになり、 受信はさらに場所を選び、かつ人を介することになる。 唯一残されたFAX。
この問題をクリアするのがインターネットFAXである。
インターネットFAXが導入出来れば、これでどこでもいつでも会社と同じ空間、 仕事空間を作ることが出来るのである。
そしてすべての資料はパソコン内に納まるか パソコンを介してネット経由で取り込むか、閲覧することが出来る。 資料の整理も簡単。かさばらない。パソコン重量以上には重くならない。
何かをする為に会社に寄る必要もなく、会社を経由する必要もなく、移動も効率的である。
将来、多くの人がこのようなワークスタイルになれば、 書類スペースやオフィス面積もかなりコンパクトに出来るのではないだろうか。
会議室にしても、今はweb会議システムがある。 これでいつでもどこでも会議をすることが出来る。 そうすることによりお互いに無駄が省け、無用なストレスを抱えることもないのではないだろうか。
このように集中して仕事に取り組むことで、モチベーションもおのずと上がり、 生産性も飛躍的に向上することだろう。
東日本大震災は仕事面のみならず価値観を変えた。
「持たない」ことに目を向けられるようにもなった。
これを契機に「持たない経営」、「持たない仕事術」を各自研究、極めてみては如何だろうか。 その最後のハードルとなっていたFAXがインターネットFAXを使うことでクリア出来た。
となれば何の憂いもなく、一人一人がコストダウンや生産性向上に取り組むことが出来る。 コストダウンも最終的には一人一人の取り組みが大切である。
多くの職種において全員平等に取り組めるテーマがコストダウンであり、生産性向上である。 ペーパレスに徹底して取り組むことが、全てのテーマに共通する極めて重要なキーワードである。 10回に及ぶ連載を逆から再度振り返ることで、終了としたい。
最後までお読み頂きありがとうごさいました。 厚く御礼申し上げます。
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