2月7日(火)に放映されましたNHKクローズアップ現代「動き出した電力ビジネス」を観ました。
特に取り上げられましたのがPPSと呼ばれる特定規模電気事業者で、2月2日現在、登録事業者は50社になります。(参照:
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/pps/pps_list.html)
PPS会社は、12年前の1995年の電力の自由化開始(参照:弊社トピックス「電力自由化の歴史」
http://www.costdown.co.jp/blog/2011/05/post_1948.html)後、1999年の第2次改革で誕生しました。(当時の販売対象は契約電力2000キロワット以上の需要家)
そして2004年には契約電力500キロワット以上、2005年には契約電力50キロワット以上の需要家と自由化範囲が広がりました。
そのPPS会社が一躍、有名になりましたのは大阪府庁が関西電力からではなくPPS会社のエネットから購入していることがニュースに取り上げられてからでしょうか。
また最近では東京の城南信用金庫が東京電力との契約をエネットに切り替えました。(参照:城南信金リリース
http://www.jsbank.co.jp/news/to_nen/power_company.pdf)その結果、年間2億円かかっている電気料金が1000万円(5%)コストダウンになる可能性があるそうです。
最大のPPS会社 エネットは株式会社NTTファシリティーズ 東京ガス株式会社 大阪ガス株式会社の共同出資による会社ですが、社員はわずか40名で、徹底的に経費を切り詰め、安く供給出来るようにしています。(エネットに限らず市場に参入する際の今の最大の売りは安さであるのは当然ですが)
ただ供給力に限度があります。昨年、8月に私(代表 片桐)が問い合わせた際には供給余力はありましたが、今は問い合わと契約が殺到していて、余力は厳しいようです。
東京電力が大口需要家(契約電力50キロワット以上)に対する平均17%(個別対応で、東京都大田区のある熱処理企業では、14.7%でした)値上げを発表して以来、対象となる企業、会社を中心ににわかにその対応に動き出しています。
ちなみにこの東京都大田区の中小企業では年間6000万円の電気料金を支払っており、それが14.7%値上げになれば、赤字になってしまうそうです。
原子力発電所は定期点検後、次々と停止しており、全国で現在、稼動している原発は54基中3基で、この春にはすべて停止します。
日本では電力供給が厳しい状況に陥っており、今後、さらに厳しいものになります。
この状況を受けて、自社で休止中の発電施設を稼動させる、あるいは稼働中の発電施設の稼働率を上げる企業の動きもあります。(参照:日本製紙グループ)
7月1日から再生可能エネルギーの全量買取制度がスタートするのを見据えて、太陽光発電や風力発電に参入する企業も増えており(参照:LPガス販売会社 チョープロ)、太陽光パネルメーカー(参照:ソーラーフロンティア)には続々と問い合わせがあります。
こうしたラッシュのような動きで、日当たりが良く、送電等条件の良い設置場所として広くて安い更地も今、注目されています。
ちなみに番組内では買取価格を38円/kWh、買取期間15年でシミュレーションされておりました。(買取条件は政府がこれから決めます)
東日本大震災による原発事故・停止をきっかけにやっと、これらのことが一気に進み始めました。
米Googleのエコカーや家庭で発電された電力で余剰分をネット上で融通するという構想も聞いた覚えがあります。
電力自由化、PPS、太陽光発電、電力融通、日本卸電力取引所等、電力を取り巻く制度、仕組み、整備等、電力行政が重要です。
しかし、これらの取り組みは新興国を中心とした世界的電力需要に対応できる、大きな輸出ビジネスに出来る可能性があります。
どうせ取り組むのであれば、発電・売電・電力取引先進国を目指したいものです。
以上、皆様のお役に立てば幸いです。