|
|
片桐 明
株式会社コストダウン 代表取締役/インターネットFAX総合研究会 特別研究員
|
|
しがらみ断ち決断・実行
2012.03.02
|
|
|
このタイトルは一昨日(2月29日)の日経朝刊 第1面「ニッポンの企業力 第4部 サバイバル4」の題名です。
またもう一つの題名は「再生に奇策なし」。
取り上げられたのは日本航空。
2010年に会社更生法の適用申請をし、(2012年3月期で最高益をうかがえるようにまで)再生できたのは、「しがらみを断ち決断・実行」したからであり、その再建プランは破綻後、稲盛和夫氏がトップになる前に、同じものがダイエーの再生に関わった旧産業再生機構メンバーで構成された前原国交相(当時)直轄のJAL再生タスクフォース(作業部会)が大臣に提出していたものとほぼ同じ内容だったそうです。
しかもその基は、JALの30代、40代社員という中堅社員に対する聞き取りで得られた意見です。
ただ、権限や出融資機能を持たない部会は、それを実行する為の債権カット合意を銀行団から取り付けられず、実行に移されることはありませんでした。
結局、大臣はJALが支援を要請した企業再生支援機構が会社更生法の適用による事前調整型の法的整理の意向を示したため、これに押し切られる形でJALの法的整理を容認しました。
ちなみに再建策の柱は、
1.国内外不採算路線の廃止
2.燃費効率の悪い「ジャンボ」全40機の退役
3.3割の人員削減と賃金カット
で、要は社員には本当の危機感が欠如し、タスクフォースには権限がなく、これらの柱を実行出来なかった訳です。
それを実行に移せたのは「破綻」したからです。
「破綻」したことにより社員の危機感が増し、周囲のさまざまな協力も得、しがらみを絶つことも出来た訳です。
人に対しては「死んでみなけりゃ治らない」という言い方もありますが、それを会社・企業向けに言い換えれば、「つぶれてみなけりゃわからない」ということでしょうか。
組織人として「知っていること」、「わかっていること」と「出来ること」は違います。
同様に会社として「説明していること」と「理解されていること」、そして「理解されていること」と「実行されていること」は違います。
実行されなければ、何事も絵に描いた餅です。
そして実際には「つぶれてからでは遅い」のです。
コストダウンは「つぶれない為に行う」という一面を持っています。
そしてコストダウンの最大の敵はしがらみなのです。
しがらみには会社、個人としての血縁、地縁、知縁、商縁、金縁があります。
知縁は知り合い、商縁は売上、仕入れ、外注、請負等の商売にまつわる縁、金縁はおカネの貸し借り、融通にまつわる縁です。
こうしたしがらみを絶てるかどうか?
それが会社が困っている状態、すなわち困難を乗り切れるかどうかを左右します。
私(代表 片桐は「明るいコストダウン」を提唱している関係上、その最大の障害と位置づける「しがらみ」という言葉には敏感です。 「しがらみ排除」、「聖域なき改革」を再考させ、人に伝える良い材料でしたので、記事を引用させて頂きました。
以上、皆様のお役に立てば幸いです。
|