株式会社ピークパフォーマンス代表取締役
平本相武
東海最前線
東海地方の先端的な試み、ユニークな商品・サービス、意義のある取り組みなどを紹介
短期間で成功を勝ち取るために
ビジネスとプライベートを
両立させた女性になるために
ワンランク上のステージで
活躍するために
問題解決をすばやくするために
国際力を身につけるために
ビジネスを円滑にするコツとは
コミュニケーションが
上手になるために
人の上に立つ時に必要な考えは
心身ともに美しくなるには
感性豊かな毎日を送るには
運営:
株式会社コミュニケーションデザイン
Home
>
HKM-日商快訊-
>
コラム
> 日本本社と中国現地子会社の権限「現地に任せきれない日本本社」-2
HKM-日商快訊-
[ 中国 ]
HKM-日商快訊-
[コラム]
日本本社と中国現地子会社の権限「現地に任せきれない日本本社」-2
2012.04.24
当コラムの主旨は、講義内容を誌上で公開することで情報共有を促進し、日系企業に問題提起を行ない、改善への活力を生み出すことにある。新しく中国現地に赴任した日本人および日系企業で働く中国人のなかでも、本気で勉強したい者たちを誌上の生徒とする。――塾長・久保田昭夫
前回は、経営管理の体制が整えられていないために、現地の総経理が軽視され、日本から来る名ばかりの董事長(日本の社長)が現地の経営判断をしてしまう弊害をお伝えした。そこで今回は、社歴10年以上の日系企業で実際に起きた事例を紹介しよう。
総経理による680万元の不正を見抜けなかった日本の社長、
信じてもらえなかった現地の董事長
この会社は、東莞にある成形部品製造の来料加工企業。取引先は香港、中国、日系の大手で、従業員は約3千人(組合あり)と、比較的大規模の工場である。董事長は香港での会計と東莞の工場全体を統括管理する日本人、総経理は日本本社で採用した自称北京大卒の中国人。日常の工場運営は中国人の総経理が担当し、人事も総経理の思うままに行なわれてきた。
前例にもれず、日本の社長が「仕事は現地に任せている」と言いつつ、投資者として毎月来中し、顧客挨拶と工場視察、経営幹部との懇談など日程をこなし、日本に帰国していた。その期間中は日本の社長がすべてを仕切り、指示命令を出す。董事長は日本の社長にすべて従うのみ。雇われ董事長なので、社長には何も言えないのである。
あるときこの董事長が、香港の会計帳簿から「工場から出る廃材の金額が異常に少ない」ことに気づき、すぐに日本の社長に異常値を報告した。社長はすぐに来中し、自ら任命し信頼もしている中国人総経理に問いただし、工場の会計担当の帳簿なども調査したが、不正は発見できなかった。
そして日本の社長は、こともあろうか、総経理から言われた「これは工場を董事長が思いのままにするための陰謀であり、私を追い出す口実だ」の主張を信じ、逆に董事長を疑い、解雇寸前にまでいった。
董事長の真実解明への努力により、
総経理の不正がようやく発覚
自分への疑いを晴らすために董事長は、3年前までさかのぼり、帳簿と廃材売却の領収書を徹底的に調べることにした。
その結果、総経理による2年半で680万元の横領が発覚。工場の帳簿を調査した段階で発覚しなかったのは、総経理が採用した会計担当が実は総経理の姪で、2人でグルになって不正を働いていたからだということも判明した。信頼していた総経理に裏切られていたことを知った日本の社長は、即刻裁判所に提訴した。
この事件は、日本本社と現地工場における指示命令、管理の権限、信頼関係のあり方など、多くの日系企業にとって多岐にわたる教訓となった。
<今月の格言>
賢者は、人の上に立たんと欲すれば、
人の下に身を置き、人の前に立たんと
欲すれば、人の後ろに身を置く。
かくして、賢者は人の上に立てども、
人はその重みを感じることなく、
人の前に立てども、
人の心は傷つくことがない。
老子(春秋時代〔前5世紀頃〕の思想家)
■ 他のコラムを読む
「HKM-日商快訊- E-mail版120229<最新号のお知らせ>」2012.03.07
「メイド・バイ・ジャパン in チャイナを中国で売る! 中国産業スペシャリスト4人の日系企業の内販への提言」2012.03.09
HKM-日商快訊- のコラム一覧へ
Copyright (C) 2013 TOP BRAIN, All Rights Reserved.