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片桐 明
株式会社コストダウン 代表取締役/インターネットFAX総合研究会 特別研究員
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企業体質は一朝一夕には成らず
2012.04.27
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本日(27日)の日経朝刊 第11面に「日航再生への関門」に「反転攻勢、稲盛氏の憂慮 経営幹部の慢心 警戒」と題して記事掲載されました。
先日(22日)、成田−ボストン線が就航し「再生への象徴」的なこととして扱われました。
しかし、その片方で稲盛氏は「まだまだ」と憂慮する一人だったようです。
「経営幹部の慢心に警戒しなければならない」とし、毎月の業績報告会では「自分のお金を使うつもりで考えろ」と投資案件を、その目的がはっきりしないとして、突き返すケースが目立つそうです。
稲盛氏には「業績が急回復して金遣いが荒くなっている」と映るようです。
野放図な路線拡大やリゾート開発が過去の失敗要因です。
放置すれば、その繰り返しがまた行われるという強烈な危機感があるのでしょう。
ただ日航の再生は、会社更生法下の支援のもと、かつていた従業員の3割にあたる1万6000人の削減、燃費の悪いジャンボを中心にした保有機約2割削減、不採算路線からの撤退等、あらゆる経費を削減してきた結果のもので、稲盛氏に言わせると「慢心の膿(うみ)を出した」ということになるのでしょう。
日航が会社更生法適用にまで凋落した根本原因は、「慢心」にあり、幹部・社員の「慢心」は会社経営というものが、「ヒトの財布」でなされているものである以上、すぐに元に戻りやすいものです。
何十年と言う会社の歴史の中で「慢心」が蓄積されてきた以上、人間がそうそう簡単に変われないのと同じ、むしろそれ以上に、企業体質として「慢心」を排除することは大変なことです。
「お金を使う」ことは目立ちますし、人気のある経営施策です。しかし、経費削減は地味で、人気のない経営施策です。
自分の存在を後に形として残すには「お金を使う」ことに限ります。
しかし、それでは生き物である会社を生き残らせる(存続する)ことは出来ないのです。
とてもまだ「再生した」と言えない今、すぐに簡単に浮き立つ幹部・社員を見て、稲盛氏は「まだまだ」と思ったのでしょう。
稲盛氏と同じように高い危機感を持ち、同じことを考え、発言する分身がまだいないということでしょう。
植木社長は「(稲盛氏に)安心して去っていただける経営体制をつくれるかどうかがポイント」としているそうですが、その日はまだ遠いようです。
以上です。
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