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第一商品(株)PISC編集部
[ 資産運用 ][ 株式投資 ]
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金が買われている7つの理由、今後どうなる?
2011.01.07
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これまでご紹介してきた「金が買われている7 つの理由」は、金価格を未曾有の高値へと導いた。これらは今後、どのように推移するだろうか。今後予想される展開は以下の通りである。
① 通貨不信でドルの価値はさらに低下へ 2010年11月決定のFRB の追加金融緩和(QE2)でドルの余剰感が一層強まり、ドル安トレンドは今後も変わらないであろう。
② ペーパー資産から実物資産への流れが加速する 商品価格は2009年前半から再び上昇トレンドに入っている。 特に銅は2008年の高値を突破し、原油価格に波及してきた場合、インフレ警戒のシグナルと考えておきたい。 また①に関連して、ドル余剰が再び過剰流動性を生みだし、金をはじめ商品価格全般をさらに押し上げることになろう。
③ 投資需要は拡大の一途 GFMS社発表によると、2010年下半期の世界投資需要は1,304トンと、前年同期の617トンから増加する見込みである。 米国の超低金利・ドル安政策の長期化を背景に、NY金価格は過去最高値を更新中(2010年12月現在)である。 リスク回避志向の強いマネーが、金ETF 等を通じて今後とも断続的に金市場に流入してくる可能性が高い。
④公的機関は売却側から購入側に IMF が2009年に403トンの売却を表明していたが、中央銀行との相対取引と市中売却を含め既に310.3トン消化し、2011年2月中にも全量売却できる見通しである。 2010年9月のGFMS社発表によると、公的機関全体では差引き買越しになる模様で、従来の売り材料がまた一つ減少し、金相場にとって有利な状況が続きそうだ。
⑤ 我が国の地政学リスクと財政破綻リスクの高まり 2010年の後半に入り、中国(尖閣諸島問題)・ロシア(北方領土問題)と我が国における緊張関係が続いている。当事者としての地政学リスクの高まりを警戒しておくべきであろう。 また、2015年には団塊の世代が全て65歳以上となり、金融資産の大量取り崩しから国債の国内消化が限界点に達すると見られている。そのタイミングで日本の財政破綻が現実味を帯びてくる可能性が高い。
⑥ 欧州危機の再燃で、金相場は再度急騰する場面も 2010年10月、格付け会社フィッチはアイルランドの格付けを「AA-」から「A+」に引き下げ、見通しはネガティブとし、今後さらに引き下げの可能性を示唆している。 欧州の財政問題はいまだ解決しておらず、きっかけ次第で金相場が急騰する場面もあるだろう。
⑦ 中国での国内「金」資源枯渇 中国では、2010年8月に中央銀行から金市場発展を目的としたガイドラインが公表され、金投資に拍車がかかっている。 約2億の預金口座がある中国工商銀行が純金積み立ての取扱いを開始し、爆発的需要が生まれると期待されている。 しかしながら、中国国内の可採埋蔵量はあと6 年程度で枯渇するとのとの予測があり、国内需要を満たすためには大量の輸入をしなければならなくなる。
以上のように、「金が買われている7 つの理由」は一過性にとどまらず、今後も引き続き金相場に影響を与えると思われる。
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