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御立尚資
BCGグループ日本代表 [ 能力開発 ]
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御立尚資
[インタビュー]
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戦略「脳」鍛える/東洋経済出版社(3)
2005.09.18
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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実践と理論を組み合わせてこそ、 よいアイディアがうまれるでしょう。
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レンズとシャドーボクシングでインサイト力を高める
【主藤】 今のお話は、直観を鍛える、あるいはインサイトを高めるトレーニングにつながってくるお話。
【御立】 ですね。インサイトというのはその組み合わせなんですね。ある程度定石を知って、パターン認識ができると。
人間って、定石を知っているといちいち考えなくていいんですよね。例えば羽生名人があと何手で詰むというの、いちいち全部詰み上げてみているからではなくて、パッと見た瞬間にもうパターン認識で、これあと五手で詰むとか七手で詰むってわかるわけですよね。これはまずスピードアップの第一歩。
その次にそうやってやるだけではなくて、ユニークなアイデアをレンズを作って出すと。で、これ仮説になります。今度は先ほどのスピードを上げる。もう1個のシャドーボクシングの方で試していく。
この幾つかの組み合わせで頭の使い方が変わってくるんですね。ですからレンズはそのなかでも仮説を出しやすくするためのツールの一つというふうにお考え頂いた方がいいと思いますね。
【主藤】 仮説を出しやすくするためのツールと。
【御立】 そうですね。
【主藤】 仮説っていうのが、大切なんですね。
【御立】 ええ。ビジネスの仮説というのは、自分はこういうのが得意だとおっしゃる方はいらっしゃるんですね、やっぱり。プランナーの方だとか、あるいは商社の方は「今、新しいビジネスを作るんでいつもやっている」と。でも、私が今までお目にかかった方の中で、9つのレンズを全部いつも使って意識している方は1人もいないです。
このうち2つか3つのレンズを自分はよく使っているとおっしゃる方は優秀なプランナーとか、商社の企画部の方でいらっしゃるんですけども、自分がやっていなかった使い方というのがあるんだということにまず気付いて頂き、この後それを使い慣れて頂くということだと思うんですね。
身の回りのことで戦略を立ててみよう 【主藤】 いろいろ経営と直観という、一見相容れないお話で、今までお話してきましたけれども、川崎さん、どうですか、聞いていて。
【川崎】 今、スピードであったり、レンズであったりというのが、どんな仕事とか業界にもたぶんわかりやすいと思うんですけど、例えば本の中には、パン屋さんのお話であったりとか、すごく身近な話が結構ありました。
聞いていらっしゃる方がもしかしたらちょっと難しいなと思われるかもしれないので、もし何か身近な例みたいなのがあれば伺いたいなと思うんですが。
【御立】 これは本の中にも書いたんですけども、こういう戦略の話って難しい理論をまず勉強したがりますよね。そうじゃなくて、インサイトだといっても私の話もある意味、堅いコンセプトの話なんですが、頭の使い方だから歩き方とか体の使い方と一緒なんで、試してみないと身に付かないですよね。
私は下手なゴルフを1年前に始めたんですけども、ありとあらゆる本を読んだんですが、全然上手く当たらないんですね。これは打ってみて、体の使い方の癖を先生に直してもらわなきゃいけない。
ですから身近に、先ほど川崎さんがおっしゃったように、パン屋さんが近所にある。この売り上げを10倍にしてみろうと何かアイデアを出しませんかというのを、例えばこの本を読んで頂いて、レンズを使って考えて頂くと。
このなかに例題も出してあるんですけども、ほんの身近なところからでもいいから使ってみると。練習場でプラクティススイングをするのと同じで、身近なところで考える。あまり大げさにしない方が能力って高まるんだというのが実感ですね。
【主藤】 なるほど。身近なところでとりあえずはやってみるという。これは割り切りというか、気軽さというか、あんまり深く考えない方がいいという。
【御立】 そうですね。飛行実験みたいなものですから、試さないとできるようにならないですよね。ハイハイして歩くようになった時、考えてたら、歩いてないですよね。何回もこけながら体のバランスの取り方って身に付けていますけども、大人になっちゃうとつい頭から入るじゃないですか。
こういうふうにスイングすれば、ゴルフは上手くいくとか、こうやれば水泳は早くなる。でもたぶん優れた人は何となく試しているうちに上手くなっているんで、戦略も同じなんじゃないかなと思うんですけどね。
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