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小松俊明
外資系エグゼクティブリクルーター [ 時間管理 ][ キャリア ]
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小松俊明
[インタビュー]
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デキる上司は定時に帰る/あさ出版(2)
2006.11.12
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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どういうことを期待しているか、相手にわかりやすく伝えてあげることが上司のテクニカルな仕事
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上司とは、ある程度やり方を自分で学ばなければいけない
【高城】 本の件をもう少しお聞きしたいのですけども、私はこの本を読ませて頂いてどこが一番印象に残ったかと言うと、いい上司ではなくて、だめな上司。やってはいけないと書いてありましたね。耳の痛い話も結構多いと思うんですね。例えば「赤ペンの話」、あと「ダメ出しをする」、特に「人前でダメ出しをする話」。実際にそういう方に遭遇したこともありますよね。
【小松】 今まさにおっしゃられた2つの例は、すごく日本では多いケースだと思うんですよね。1つはその赤ペンを持って常に身構えてしまうという。人の出してきたものに「赤を入れる」というのは、おそらく経験のある方であればわかるように非常に簡単ですよね。
【川崎】 気持ちがいいですよね、自分は。
【小松】 終わったあとでね。真っ赤になったものを見るというのは、とてもおもしろいけど、そうではなくて、上司という立場にいる方はもともとの「赤を入れる」前の原稿をどうやって作るのかとか、その企画書をどうやって作るのかを上手に指示を出したり、ほかの言い方をすれば、どういうことを期待しているか、エクスペクテーションはどこにあるかを相手にわかりやすく伝えてあげることが上司のテクニカルな仕事だと思うんですよね。それをしないままに「とりあえずやってみろ」と手放しで部下に指示を出しているケースが非常に多いと思うんです。その結果出てきたものがあまり期待にそわないと、赤ペンを持って採点してしまうと。
【高城】 一般的に言うと、日本の企業の上司は自分の経験をベースに指導する人が多いですよね。もしかすると、小松さんの考えている上司とはある意味マネージメントそのものが特殊な技術なので、ある程度考え方、やり方を自分で学ばなければいけないということを伝えたいのかなという気がしたのですけど。
【小松】 高城さんのおっしゃるとおりで、僕は海外の影響を受け、外国企業、外資系の話をするがためにどうしても合理的な部分や効率性を強調しているように誤解されることがあるのですけれども、どちらかというと大工の棟梁さんみたいに必ずしも直接は教えてはくれないけども、みんな彼の優れた技術を背中で見ながら、彼の指示の出し方を学びながらそれを覚えていくと。必要に応じてやはりトラブルがあったら事前に棟梁に相談するとかのやりとりが必要で、たぶん上司になったから無理して管理職になったとか、全て責任を自分が取るという発想を持つ必要はないのかなと思います。
外資の場合は強いリーダーであればあるほどいつまでも君臨する
【高城】 ここでお聞きしたいのは、タイトルに出ている「デキる上司は定時に帰る」ですね。先ほどの話にもありましたように、上司の方は自分も頑張って仕事をしている方が結構多いと思うのですけど、このタイトルにした理由は何かあるのですかね。
【小松】 「定時に帰らなければいけない」というよりは、「定時に帰る」という意識を持って仕事をしたり、仕事を振ったりするということ。今回、私この本の中で申し上げたかったことは、仕事ができるのはある意味、当たり前なんだと。技術があるのも、スキルがあるのも経験を積んでいれば当たり前だと。上司になる、もしくはもうなった人はこれまで自分が生きてきた哲学みたいなものを人に伝えていったり、必要に応じて助けてあげたり、ある程度人間臭く、やさしく明るく寛大に元気よくみたいな。なんかちょっと小学校の先生みたいなことを言っていますけども、本当にある意味、チャーミングなビジネスマンを目指していこうというのが僕はこの仕事の現場でのメッセージではないかと思うんですよね。
【高城】 どうですか、川崎さん。お読みになってみて、感想は。
【川崎】 日本の会社であれば本当にこの本そのまま適用されるのかなと思ったのですが、自分は外資系の代理店にいたので、アピール上手な人が上司に認められて。
【高城】 ありがちですね。
【川崎】 英語ができないということもあるのですけども、アピールができないと外資系の場合はなかなか上司や社長に認めてもらえず、結局昇進もできずに人が流出してしまうことが結構あったのですが、外資系だとまたちょっと違ったりすることがあるのですか。
【小松】 基本的に外資系の現場で、今川崎さんおっしゃったようなアピールの重要性はよく言われていることなんですね。ただ一方でアピールをする際に、その上司の方がもともと何をしたいと思っているか、どういうことを目指しているかを理解して、というのがたぶん大前提としてあると思うのですね。それを理解していれば、それにそって全ての仕事をやっていく。このへんのわりきりが外資系の場合は、特に日本企業より多いと思うのです。というのは、日本の会社なら、例えば3年待って頑張れば、我慢すれば上司はどこか異動して行ってしまうかもしれませんけれども、外資の場合は強いリーダーであればあるほどいつまでも君臨しますからね。彼に、彼女に反発して向こう3年間過ごすよりは、その会社にいるのであれば、その部にいるのであればその彼の、彼女のやり方なりポリシーをより深く理解しようと努力して、最初は誤解していてもより深く理解したら実はおもしろいと思えれば、できるだけ早くベクトル合わせてその彼と彼女と一緒に仕事をやっていくと。こうするのが得策で、そういう方が昇進しているように思いますね。
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