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城繁幸
人事コンサルティング「Joe‘s Labo」代表 [ 人材採用 ]
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城繁幸
[インタビュー]
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「3年で辞める」前に何をすべきか(2)
2007.01.21
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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成果主義、年功序列、それぞれメリット、デメリットがあってそのバランスを考えて付き合うべき
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答えを求めて待つ若者達
高城 実際に3年で辞めた方のその後の将来はいろいろ考えられると思うんですが、起業するとか、転職する、そのままフリーターになっちゃうとかあるんですけど、どれが多いんですか?
城 一般には転職が多いですね。ただ転職って言っても非定期雇用に最終的には流れちゃう人っていうのも少なくはないですよね。むしろ確実に客観的にキャリアアップって言えるケースって1割無いと思いますね。
川崎 そうなんですか。少ないんですね。せっかく転職してるのに。
高城 実際にサラリーマンが3年で辞める時の理由っていうのは何かがやりたいから辞めるというよりは、今の仕事が嫌だから辞めるっていう少し後ろ向きな人が多いので、まずそれが前提のような気がするんですよね。
城 そうなんですよね。僕もそれは本の中で取り上げているんだけど、閉塞感を感じて辞めるっていうのは人間として正しいことだと思うのでそれについてはとやかく言うつもりは無いんだけども、じゃあ何を求めるかっていうところに踏み込んで考えないと大概は失敗すると思いますね。例えば極端な話ですが、同業他社の日本企業に転職したって閉塞感は無くならないですよ。
高城 変わらないですよね。
城 だって原因は年功序列にあるんだから日本企業である以上それは変わらないですよ。
高城 この本のメッセージとして「3年で辞めるな」「もうちょっと頑張れ」と伝えるべきなんですか?
そこは一言で言えないんですよね。僕は人生は価値観だと思っているので、僕と同じ価値観を持った人間であれば今すぐ辞めろって言えばいいんだけど、そうじゃないじゃないですか。だからまず、自分で何をどういう風に生きたいかっていうのを考えて下さいと言ってるんですよね。例えば完全外資に入って何千万も稼いで、30代で引退っていう生き方って憧れはするけど皆が出来る訳じゃないですよ。
高城 そうですよね。
城 起業したりするってものすごくエネルギーを使うじゃないですか。あれもやっぱり万人向けではない。定年まで職があることが良いっていう人は一つの価値観だと僕は思うんです。今は少なくとも毎年お給料がちょっとずつ上がっていって、定年まで安定した雇用が保障されるっていう時代ではないから、それを妄信するんじゃなくて、自分でまず何をやりたいのかを考えてみてその上で決めて下さいっていうそのプロセスですよね、上の世代が経ていないものは。それを今の世代の若者は経る必要があると思っています。
高城 最近の若者と話をする機会が割と多いのですが、「結局じゃあ私達はどうしたらいいの?」っていう答えを求めて待っている人がすごく多いんですね。「じゃあ3年で辞めないでいいのかな」とか「我々はどうしたらいいの?」っていう答えを自分で見つけられなくて、またどこかで本を探してそこで答えを探してしまうのかな、っていう部分があったりするんですよね。
城 それはありますね。それが初歩的勘違いかなと思うんだけども、例えばいろんな方から質問とか感想をいただいて一番驚いたのは「非常に感動しました。今後の参考にしたいと思います。ところで私はどこの会社に就職したら良いのでしょう」って。
高城 知るか、ですよね。そんなことね。
城 君、一番大事な事分かってないよ、と。そういう人って割と多いんですよね。でもそれが今の若者だけかと言うと、自分自身も覚えがありますよ。自分が20代のサラリーマン時代にどういう生き方をしていたかっていうと、やっぱり閉塞感を感じてたんだけど、自分で何かしようとは最初は思わなかったですね。周りの人間もみんなそうだし、そのうち慣れてくる。洗脳と言うか、慣れると言うか。僕は幸いにして途中で目が覚めたんだけども、やっぱりそういう社会全体、それから教育も含めてそういう価値観のようなものってあると思うんですよね。答えを求めない、或る意味年功序列的な生き方、そういう価値観ってあると思うんですよね。
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高城 この『若者はなぜ3年で辞めるのか』というタイトル見たとき若い人はどう感じたのかなってすごく興味があるのですが、若い人から何か感想はありましたか?
城 沢山いただいてます。一番多かったのが、今までの認識が甘かったとか、自分の進路とかこれからどういう会社に入る、或いはもう働かれている人であれば自分の会社の人事制度がどうなっているか全く知らなかったっていう方が多いんですよね。それに気付くきっかけになりました、考えるきっかけになりましたっていうのが一番多かった。ちょっと印象的でしたね。
川崎 就職をしたりする前に読んでおくといいかもって思いましたね。入る前って何の情報もないし、隠されているものだし、入ってからも分からないですよね。
高城 人事の仕事っていうのは或る意味でサービス的な機能がなきゃいけないんですよね。従業員の方が頑張って活躍するために仕組みを作るんですけど、得てして大企業で人事というとすごくブラックボックスになっていて、毅然としていて誰が作ったかわからない、そういう物みたいな。
城 そうですね。作り手の顔が見えないですよね。誰が運用してるかもわからない。
高城 でも逆に言うと大企業にしか無いですよね、人事っていうのはね。
城 そうですね。中小企業とか新興企業っていうのはその辺は未整備、或る意味アバウトと言うか、ノウハウとかは無いですよね。
高城 実際にこの本を書かれて大ベストセラーになられて若者からの問い合わせがあったと思うんですけど、他に意外な反響は?
城 ありましたね。結構、団塊辺りの人からすごいバッシングされるかなと思ったんですけど、それはあまり無いんですよ。大体アンチの人ってあまり手紙をわざわざ書きませんから。だけど意外だったのはその世代の人で肯定的な意見「良かったです」っていうのが割とあったんですよね。これは意外でした。そういう「これが本当は正しいことなんですよ」みたいな生き方をしてきた人達っていうのはやっぱり上の世代にもいるんですよね。例えば30年前に転職をした人っていうのは元の会社はもちろん、転職した会社からもスパイ扱いされたっていう。転職っていうのは外資系なんかは別として、日本企業にはカルチャーとしては無かったんですよね。だから非常に辛い思いをしてきたんだけど、本来人間はこうあるべきだ、みたいな感想がありましたね。
高城 読者の方がそれだけ幅広いっていうことですね。
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