□「忙しくて時間できない」の嘘――“1分単位”で勉強する――――本日のゲストは25万部の大ベストセラー『できる人の勉強法』の著者、安河内哲也さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。――――早速ですが、25万部という数字は本当にすごいですね。私も当然読ませていただきました。
どうもありがとうございます。――――ちなみに私、42歳なのですが。
私と同世代ですね。チョイ悪おやじの世代です。――――この世代にとってみると、本当に惹きつけられるものがあるんです。
ありがとうございます。――――勉強法というと大学受験が真っ先に思い浮かぶものですが、今は勉強法そのものがブームになっているように思います。この本を書かれたきっかけは、何だったのでしょうか?
これは中経出版さんからのご提案だったのですが、今は一般の人に勉強したい人が増えているから、書いてみたいかと言われたんです。私は、勉強専門でしょう。予備校で高校生やら中学生やら、あと大学生やら企業研修を教えているので。
最初はちゃんと書けるか疑問に思っていたんです。なぜかというと、私はものすごく普通の勉強法を勧める人なんですよ。だから、私の勉強法が支持されるかどうかちょっと心配だったんです。世の中の本を見ると、だいたい「食べながらやせるダイエット」とか、「この石を身につければ恋人ができる」とか、「葉緑素で癌が治る」とか、そういう本が売れるじゃないですか。でも私なんかは普通の勉強法だから、それで売れるのかなすごく心配だったんですが、やはり読んでいただくと皆さん、そうした当たり前のことを「ああ、やっぱりそうだな」と思ってくださったということで、非常に嬉しいなと思っていますね。――――普通と言えば普通なのかもしれませんが、新鮮だと感じる人がすごく多いと思います。自分でもやっている部分は当然あるけれども、やりきれていないこともたくさんあったと思うんです。参考書や資格試験の本を何冊も何冊も買って、全部途中で終わってしまう人、多いじゃないですか。
そうですよね。単語帳なんて、だいたい受験生1人につき7冊買うと言いますからね。――――ビジネスとしても大きいですが、そんなに買ってしまうんですか。
単語集の販売部数は受験生の数より多いですからね。明らかに1人数冊ずつ買っているということですよね。――――それは、それぞれが最後まで読まずに挫折してしまうと?
絶対そうですよ。だって家の本棚にいっぱいあるでしょう、読まずにとってある参考書。私もいっぱいありますから。システムアドミニストレーターだとか、ファイナンシャルプランナー、経済がわかる本とか、5冊も6冊もあって、だいたい最初から14ページぐらいで終わるんですよ。
英文法の本なんかも、みんな持っているでしょう? 5冊ぐらい買うわけですよ。でもだいたい4文型ぐらいで終わるんですよね。第5文型で難しくなって、そこでやめてしまう、という感じなんです。――――この本の中に、そんなに無理をしない、と書かれていますよね。例えば時間の使い方にしても1日中勉強することはないし、本もたくさん読むんじゃなくて、1冊を徹底的に読みなさい、と。それから、やりきるためなら、全部一旦やめなさい、と。これらは簡単なことのようで、でもやらないですよね。
難しいですよね。今の高校生は、大学受験を目前にしても部活なんかものすごく忙しい。だから「私、忙しくて勉強できません」と部活をやっている子が言うんです。その子は1時間勉強できなければ「もう勉強できません」と言ってしまう。人間って、1時間単位でものごとを考えがちなんですよ。それなら、1分単位でものごと考えるといいと思うんです。――――1分単位ですか。
「ああ、今日は2分勉強できる」とか、「よし、今日は3分勉強しよう」とか、「今日は5分勉強しよう」とか。それくらいの時間だったら、結構たくさんあるんです。朝起きてから会社へ行くまで、今日は早く準備が終わったから、「よーし、今日は4分も勉強できる」って4分勉強すればいいいし、仕事のアポまでに空いた時間に「よーし、今日は6分勉強できる」「6分も勉強するぞ」と思ってやればいい。そういう細切れの時間は、たまると1日3時間ぐらいになったりするんです。1時間単位で発想するところを、1分単位で発想すると、時間は結構あるものなんですよね。――――確かに1時間と言われると、辛いですよね。眠くもなりますし、意外と勉強していて飽きてきてしまったり。
敷居が高いですよね。資格の勉強にしても、私もいろいろとやってきましたが、3分とか5分の集中攻撃で覚えるんです。1時間も2時間もだらだらだらだらやっていても、だいたい最初の5分ぐらいは頭も働いていますが、50分ぐらいになったら「あとで何、食おうかな」とか「今日はやっぱりヒレカツがいいなあ」とか、そんなこと考えながらずっと勉強している。だから短い時間でたくさんやるのが一番効果をあげる勉強法だと私は前から思っていますし、自分でやってみてもやはり2時間、3時間も連続して勉強すると、かえって成果があがらないことがあるので、それを細切れにわけてやるというやり方のほうがいいと思うんですよ。(2)に続く