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安河内哲也
カリスマ予備校講師
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安河内哲也
[インタビュー]
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短時間だからこそ成果が上がる「勉強法」(3)
2007.07.25
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がむしゃらになるほどムダが多い? ――効率的に実力アップを実現する方法
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□「オケノキモジユウス」――ゼロから勉強を始める人へ
――――この本の中には勉強法のヒントがたくさん詰まっていますが、例えばこれから何かをゼロから勉強しようというとき、いいやり方のヒントは何かありますか?
そうですね。もうとにかく皆さん忙しい。いくら時間がでてきたと言っても忙しい。勉強というのは、何時間やったかとか何分やったかとか、それで決まるものではないんです。本にも書いてありますが、「兎と亀」の話があるじゃないですか。我々の世代、もしくはそれより上の世代は「兎と亀」の話が大好きですよ。「スチュワーデス物語」とか、見ませんでした? 風間杜夫さんが堀ちえみさんに「お前らはのろまの亀だ。亀だけど頑張ればスチュワーデスになれるんだ」と言うのを見て泣いちゃっている世代ですから。だからどうしても「のろまでも一生懸命やることが大事だ」と思ってしまいがちなんですが、現実問題、資格試験を半年で通りたいのに、のろのろやっていたら時間もないし、ダメなんですよ。 私は、とにかく全ての工夫と努力を時間対効果を上げることに費やすべきだと思っているんです。例えば1時間で10しかできない人がいくら頑張ったって、1時間で100できる人には追いつけないわけですから、1時間で10できる人は何をやらなくてはいけないか。それはとにかく1時間でできる量を増やすこと。ここに注力する。これが私の勉強法のコツです。
――――それは可能なんですか?
できます。そのためには、本にも書きましたが、「オケノキモ」が必要です。「オケノキモ」「ジユウス」をつけて、「オケノキモジユウス」と覚えてください。「オ」は「音読」、つまり声に出して読む。私はいまだに受験のとき、つまり20何年前にやったことを覚えているんですよ。「るーらる、すーさす、むず、むず、や、まし、しむ、まごし、ざりじ、なり、ぞーらむ、や、か、こそ」……。
――――それは何ですか?
いや、なんだかさっぱりわからないです。でも、まだ覚えている。とにかく声に出して覚えたものは忘れない。リズムに乗って覚えたものは忘れない。飛行機の操縦の教習とかでも同じですよ。チェックリストがあって、それを全部声に出して読み上げなくてはいけないというルールがあるんです。声に出して読むことは、定着、確認の助けになるので、特に語学では非常に重要です。 「ケ」は、「健康」にやる。特に精神的な健康が大事です。もう終わったことに、くよくよしない。いいじゃないですか。例えば年に7回TOEIC試験はやっているのだから、2回目のTOEIC試験が悪かったからといって、「なんで私はダメなの」なんて考えているより、3回目の試験を頑張ったほうがいい。それが精神的な健康です。いちいちいちいち反省しない。日本人は基本的に反省会とか好きですからね。
――――好きですよね。
反省しているようには見えないのに、「反省会」とか「反省する」という機会を作るのが好きですよね。でも、あまりいちいち反省しないほうがいいんです。終わったら終わったで、忘れてしまう。ただ、どうやって直すかということだけ考えていくほうがいい。 「ノ」は「能率」ですね。つまらないノートとか資料なんて作らない。覚える分量だけしか作らなくていいんです。そして、書いたら覚える。覚えないことは書かない。とりあえず書くのを全部やめてしまうということですね。 「キ」、これは「興味」です。例えば日本史を勉強するのであれば、旅行に行って史跡めぐりをしてみるとか。学問に対する興味を喚起して、その1ヶ所だけでもいいから、教科書と現実のつながりを作る。経験教育を自分に対して施すということですね。他のところも世の中のいろいろなことと関係しているんだ、と感じることから興味が湧いてくる。 「モ」は「目標」ですね。短期の目標、長期の目標と、自分がどういうふうになりたいかをイメージトレーニングして、作っていくということです。
□IQが高い人ほど相手の話を素直に聞く!?
それから「ジ」、これは「自己管理」。これが難しくて、自己管理をするためには、今自分がやっていることは、何のためにやっていることなのかを常に考えることです。例えば「このテレビ番組を見ているのは、何のためなのか」と考えてみるんです。テレビのだら見、よくやるじゃないですか。
――――ありますね。
家に帰って、ビールを飲みながら、ずーっとテレビのだら見。これは、死んでいる時間と同じですから。1日2時間にもなると、ばかにならない。テレビのだら見が1日2時間だったら、1年間で大変な時間量になってしまいます。私はハードディスクを通さないとテレビが見られないようにしているんです。ハードディスクで取捨選択して、目的が発見できるものしか見ない。こうやって、とにかく全ての行動に目的を持つとことです。 「ユウ」は優先順位。人間ってやっぱり好きなものから食べてしまいますから、嫌いなものから食べましょう。若布とかレタスから先に食べて、ハンバーグは最後に取っておく。そういうふうに全ての行動に優先順位をつけて、大事なこと、嫌なことから先にやるようにすれば、最後に好きなことが残れば、意外に夜遅くてもやってしまったりしますから。
――――楽しみですからね。
そうですね。 「ス」は戦略的に「素直になる」ということですね。自動車教習場に行って、教官が「こうしろ」と言われて、「なんだよ、この教官。何言っているんだよ」と思いながらやっていても、教官の技術を盗み取れない。だから心の底では「なんだよ、この教官」と思っていても、「はい、教官」「はい、あなたのおっしゃる通りです」と素直に言う通りにやることによって、相手の技術を盗み取ってしまう。教えている人を超えていくという戦略的な素直さが大切なんです。やはり予備校でも、偏差値85なんていう生徒に教えると、異様に素直ですもんね。
――――生意気そうなイメージですが。
生意気な子は、だいたい63〜2ぐらいなんですよ。80以上の子は異様に素直です。彼らは頭がいいからわかっているんですよ。「こいつは気に食わないけど、こいつの言うことを素直に聞かないと、こいつは超えられないから全部吸収してやろう」って。 だから素直なんですよ。みんな表面上は、めちゃくちゃいい子なんです。「はい、先生」と何でも言うこと聞く感じですね。
――――ちょっと腹黒いですね。
いや、本当にいい子なのかもしれないですけど。 これらが私の考えている時間対効果を上げて仕事や勉強をうまくやる方法です。でもこれは、自分に対して言っているわけで、自分が全部実行できているかどうかはちょっと疑問です。ごめんなさい。
――――全部実行するのは大変かもしれないですが、まず勉強するというところを始めてみたいなとすごく思いましたし、始めてみた中できっとこの本が生きてくるなと思いました。
そうですね。是非、皆さんにも読んでいただければと思います。
――――本日のゲストは、『できる人の勉強法』の著者、安河内哲也さんにおいでいただきました。 とても元気な安河内さんに私も刺激を受けました。勉強法というのはたくさんありますが、まず大事なことは、時間がなくてもできるということですね。始めてみることから何かが生まれてくるのかなと思いました。ありがとうございました。
どうもありがとうございました。カムサムニダ。
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