今回は、ペーパーレス化を図る上で、
取り組みやすいFAXのペーパーレス化について、
インターネットFAXのコスト削減例も交えて紹介していきたい。
■ ■ ■ もうひとつのコスト削減の盲点
会議や商談、プレゼンテーションなどで使う資料や
書類などのペーパーレス化によるコスト削減についてこれまでの回でお話してきた。
ムダな紙をなくすことにより、さまざまな角度から
コストを削減できることがご理解いただけたと思う。
一つの手法として以前、FAXのペーパーレス化について触れたが、
FAXは紙のムダに繋がるだけではなく、
「FAXの通信コスト」についてもコスト削減の盲点となっているようである。
中小企業向けのアンケート調査によると、
通信費削減の取り組みにおいて
FAXは75.7%が未着手という結果となり、
「使用量が多くないため、経費削減の必要を感じていない」
というのがその主な理由だった(
インターネットFAX総合研究会調べ)。
しかし、本当にFAXのコストを削減する必要はないのだろうか?
実は細かく検証していくと、削減の余地はまだまだあるようだ。
普段はあまり気にする事も多くないFAXにまつわるコスト。
せっかくの機会なので、少し詳しく見ていこう。
■ ■ ■ 「コスト削減」盲点の共通項
FAXにまつわるコストを細かく分解して見ていくと、
受信時など出力のためにかかる「用紙代やトナー代」と
送信時にかかる「通信コスト」とに大きく分けられる。
通信コストは単価が予め決まっており、使用量によって変動するものなので、
これを削減するには使用量を減らさざるを得ないと考えるのが一般的であろう。
しかしそれでは業務に支障をきたす可能性も出てくるので、
簡単に量を減らすことでコスト削減を図るのは難しい。
一方の「用紙代やトナー代」に関してはどうだろう。
これももちろん使用量に比例してコストも上下するであろうが、
これだけIT技術が発達し、電子化が進む中で、
代替できる製品、もしくはサービスはないものだろうか。
実は本連載のテーマである「ペーパーレス」、
そしてコスト削減のもうひとつの盲点であった「FAX」を結び付ける解決策として注目したいのが、
インターネットFAXによる「ペーパーレス化」だ。
インターネットFAXは2つのペーパーレスを実現している。
送信するときはパソコンに保存しているデータをそのまま送れるので、
FAX送信するためにプリントアウトする必要がなくなる。
また、受信時はパソコンや携帯電話でデータを確認できるので、
必要なものだけプリントアウトすれば良くなり、
FAXの送信・受信時、両方で紙の発生を抑えられる。
取引先が従来の紙のFAXを利用している等、
メールには切り替えられないやり取りも、
FAXをデータ化しながら、従来の紙のFAXとのやり取りを実現できるので、
相手先の環境に関わらずオフィスのペーパーレス化が可能となる。
つまり、インターネットFAXはペーパーレス化を実現しつつ、
メールでのやり取りでは不便な点も改善した、
データと紙の両方のメリットを活かしたサービスである。
さらに、インターネットFAXは、FAX用紙の削減以外のコスト削減にも効果を発揮する。
■ ■ ■ インターネットFAXのコスト削減例
保険販売代理店のA社では、
お客さまから商品の申込みや本社との審査書類のやり取りなどで、
受信したFAXを関係者全員にコピーして配布したり、
審査した用紙をまた営業所に転送したりと、頻繁にFAXを利用していたため、
各営業所の複合機や回線費、紙、トナー代などのランニングコストが大きな負担になっていた。
また、振り分け作業など従業員の稼働にも負担があったので、
業務フローの改善が課題となっていた。
そこで、NTTコミュニケーションズのインターネットFAXサービスを導入し、
FAXに関するコスト削減を実現した。
すると、ペーパーレス化により紙やトナー代などの消耗品はもちろん、
FAX機も不要になったので、複合機のリース代や
FAX専用の電話回線を削減できた。
また、FAX送信料が全国一律の送信料になったことで、
通信料も削減することができ、FAXに関するコストを約6割削減することができた。
さらに、コスト削減の結果を得られただけではなく、
業務面で期待以上の効果もあった。
事務所ではFAXを受信することが多いため、
受信したFAXの振り分けやファイリングなどの管理が煩雑となり
大きな課題となっていた。
スキャナーでのデータ化などを検討していたが、
膨大な量の資料のデータ化は稼動負担が大きく対応が見送られていた。
しかし、インターネットFAXの導入により、
受信FAXはデータで関係者に共有することができ、
振り分け作業が不要となり、事務作業の効率化を図ることができた。
また、営業担当Bさんは取引先との打ち合わせで
事務所に不在のことが多く、顧客から送られてきたFAXを
確認しに途中で事務所に戻ることが度々あったのだが、
インターネットFAXに変えてからは、
移動中でもパソコンからインターネットにアクセスして
どこにいても受信したFAXを確認できるようになった。
うっかり送り忘れたFAXもパソコンから送れるので、
快適な仕事環境を手に入れられたのだ。
これは作業にかかるコストを削減しているのと同じことになる。
FAXの使い方を変えるだけで、ビジネススタイルは大きく変わる。
これこそ、ペーパーレスのなせる業。
紙にしばられる働き方から開放されたとき、
生産性が高く、なおかつコストも抑えられるという
コスト削減を実現できるのである。
■ ■ ■ インターネットFAXへの期待度
それでは、現在、どれぐらいの中小企業が
インターネットFAXを導入しているのだろうか。
アンケートによると、12.1%が「導入済み」、48.3%が「導入を検討したい」と回答している。
約半数の経営者がインターネットFAXに興味を持っているということだ。
導入後、どのような効果を期待しているのかとの問いには、
「印刷しなくてもFAXを送受信できるため紙やトナーの使用を削減できる」、
「パソコンから直接FAXを送受信できるため、
印刷の手間が省ける」という回答が多く寄せられている
(
インターネットFAX総合研究会調べ)。
インターネットFAXは、コスト面でも業務の効率化の面でも期待できるサービスだ。
今後、ペーパーレスそしてコスト削減の新しい手段として、
ますます注目されるであろう。
今回は、FAXのペーパレス化によってコスト削減が見込めること、
またその実現にはインターネットFAXの活用が
非常に有効である事をお伝えした。
次回は、話を主題のペーパレス化に戻し、
ペーパレス化によってどれくらいビジネスが変わるものなのか、
またペーパレス化は、「生産性の高いコスト削減方法」になり得るのか、検証していきたいと思う。
執筆者:片桐明
インターネットFAX総合研究会特別研究員
株式会社コストダウン 代表取締役社長