ランチェスター経営株式会社代表取締役
竹田陽一
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中国ビジネスの基本事項「法律Q&A」第102課 労働契約締結をめぐる罰則規定について-1
2012.03.12
中国でビジネスを行なうには、中国の基本的な法律を知っておく必要があります。このコラムでは、現地日系企業の事情に詳しい中国人弁護士による、法律基礎知識を掲載。日系企業が巻き込まれやすい事件や、日系企業の業務に関連する法律について解説していきます。
中国の『労働契約法』には、労働者と一定期間後に労働契約を結ばなかった場合に雇用者に罰則を科す規定があります。もっとも、労働者が契約締結を拒否した場合にこの罰則規定が適用されるかどうかについては明確な基準がなく、裁判所の判決はまちまちです。
このようなグレーゾーンでのリスク回避に向けて、実際に起きた契約締結を巡る労働争議をケーススタディとしてご紹介します。
締結しないという過失
まず最初のケースは深圳市で争われた案件です。この案件では従業員の契約締結拒否の対処に過失があったとして、雇用者に2倍の賃金支払いを言い渡す判決が下りました。
詳細は以下の通りです。原告の盧(仮名)は2008年8月27日に電子機器工場に入社して警備員となりましたが、書面の雇用契約を結ばないまま09年1月15日に辞職、同日に雇用関係解除となりました。しかし、その後、盧は政府労働部門に労働仲裁を申請し、契約未締結に伴う2倍の賃金支払いを会社に求めました。
この案件で裁判所が判決の拠りどころとしたのは、『労働契約法』第82条および『労働契約法実施条例』第6条です。
『労働契約法』第82条は、「雇用者が採用日から1カ月超1年間未満において労働者と書面の雇用契約を締結していない場合、労働者に毎月2倍の賃金を支払わなければならない。雇用者が本法規定に反して労働者と無期限の労働契約を締結しない場合、無期限の雇用契約を締結すべき日から起算して労働者に毎月2倍の賃金を支払わなければならない」と定めています。
同条規定には、「締結していない」と「締結しない」という2種類の異なる概念があり、前者が客観的な状況を、後者が主観的な要素をそれぞれ強調しています。つまり、要因が客観的もしくは主観的であるかを問わず、上記期間に契約を結ばない場合、労働者は2倍の賃金支払いを求める権利を有することになります。
また、無期限の雇用契約を締結する条件に該当する場合に雇用者が労働者と契約を結ばなければ、それは過失となり、この場合も2倍の賃金を支払わなければなりません。ただし、ここで強調されるのは雇用者側の「締結しない」という主観的な過失であり、この過失が存在して初めて雇用者は責任を負います。
拒否されたら雇用終了
一方、『労働契約法実施条例』第6条の規定は以下となります。「雇用者が採用日から1カ月超1年未満において労働者と書面の雇用契約を締結していない場合、労働契約法第82条の規定に基づき労働者に毎月2倍の賃金を支払わなければならない。同時に、労働者と書面の雇用契約を補填締結しなければならない。労働者が雇用者と書面の雇用契約を締結しない場合、雇用者は労働者に労働関係の終了を書面で通知し、かつ労働契約法第47条の規定に基づき経済補償金を支払わなければならない」
同条でも「締結していない」ことが強調されており、また、労働者が契約締結を拒否する場合に雇用者は雇用関係を終了しなければならないと定めています。すなわち、契約締結が拒否されても雇用関係を終了せずに引き続き雇用すれば、労働者に2倍の賃金を支払わなければならないのです。
さて、この案件において会社側は、契約の意思があったことを示す証拠を提出しました。
(次号につづく)
<筆者>
李萍清:弁護士。武漢大学外国語学部日本語学科、中国人民大学大学院法学部経済法卒。深圳市律師協会所属。日系企業を対象に、労務や人事、貿易業務、投資などの法務コンサルティングを担当。広州・深圳・上海・北京に事業拠点をもつ東方KUNLUN律師事務所に勤務。
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