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中国の法律Q&A「労働契約締結をめぐる罰則規定について」
2012.04.18
中国でビジネスを行なうには、中国の基本的な法律を知っておく必要があります。このコラムでは、現地日系企業の事情に詳しい中国人弁護士による、法律基礎知識を掲載。日系企業が巻き込まれやすい事件や、日系企業の業務に関連する法律について解説していきます。
中国の『労働契約法』には、労働者が契約締結を拒否した場合などに、雇用者側への罰則規定が適用されるかどうかについて明確な基準がなく、裁判所の判決はまちまちです。このような法規のグレーゾーンでのリスクを回避するため、実際に起きた契約締結を巡る労働争議をご紹介します。
今回は、辞職した警備員が『労働契約法』第82条に基づき契約未締結に伴う2倍の賃金支払いを会社側に求めた裁判について。この案件では従業員の契約拒否への会社側の対処に過失があったとして、会社側が敗訴しました。
契約締結は会社の責任
裁判において会社側は、契約意思があったことを示す以下の証拠を提出しました。@試用期間後に書面契約締結が必要であることを記した『工場規則』。A全従業員に契約締結を求める工場内通知。B契約締結に関する政府公告。
これに対して裁判所は、労働契約法の立法主旨により
雇用者は契約締結に対して自発的な責任を負う
と指摘し、契約未締結が労働者の完全な過失に因らない場合は雇用者が処罰を受けるとしました。
さらに、会社側の証拠はいずれも会社側が一方的に作成したものだと判断。労働者が契約締結を望まない場合に就業後1か月以内に雇用関係を解除すべきとした『労働契約法実施条例』に同社が反した点に触れ、契約未締結の責任が労働者側にあることを証明する証拠はないとしました。
これにより、裁判所は会社に契約未締結に伴う2倍賃金の支払いを求める判決を下しました。
契約意思を示す証拠
逆に従業員側の訴えが棄却されたケースもあります。
四川省成都で起きたケースで、原告の従業員は入社後、会社の雇用契約締結の申し出を拒みながらも、約半年後に辞職した後、契約未締結に伴う2倍賃金の支払いと契約解除に伴う経済補償金の支払いを求める訴訟を起こしました。
この案件で契約意思を示すものとして会社側が提示した証拠は以下。@原告の従業員のために行なった社会保険加入手続きの証明。A同従業員に契約締結を通知し、それを従業員が拒んだことに関する証人証言。B全従業員に契約締結を求めた会議記録。C他の従業員が結んだ書面の雇用契約。
裁判所は判決に際し、「労働契約法第82条の目的は、労働者の合法的な権利を保護し、雇用者に速やかに労働者を雇用契約締結を促すことにある」とした上で、2倍賃金の支払い責任を追求するには、@採用日から1か月超1年間未満に書面契約を締結していない、A契約未締結の原因が雇用者側にある――という2条件を満たさなければならないと指摘しました。
その上で、会社側は書面契約の締結に積極的かつ自発的な意思を有しており、かつこの会社側の意思を原告の従業員が受け入れたことが、一連の会社側の証拠により証明されているとの見解を示しました。
このため、
契約を結ばないという主観的な故意は会社側になく、契約未締結の責任は従業員側にある
として、原告の従業員の訴えを棄却しました。
担当裁判官は、雇用者だけではなく労働者も法律の規定を厳守しなければならず、
雇用契約締結を採用後1か月間引き延ばしさえすれば2倍の賃金が手に入る
といった考えは、誠実信用原則に違反する詐欺行為だと警告しました。(つづく)
<筆者>
李萍清:弁護士。武漢大学外国語学部日本語学科、中国人民大学大学院法学部経済法卒。深圳市律師協会所属。日系企業を対象に、労務や人事、貿易業務、投資などの法務コンサルティングを担当。広州・深圳・上海・北京に事業拠点をもつ東方KUNLUN律師事務所に勤務。
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