米政府は新型ガス「シェールガス」などの天然ガス輸出を解禁する見込みで、割安な米国産ガスの輸出が本格的に解禁されれば、世界のエネルギー需給や産油国と消費国の関係、企業戦略にも大きな影響が及ぶことになりそうです。

米国が世界最大の石油・ガスの生産国に
米国から日本への輸出が開始されるのは２０１７年前後。それまでには関連施設の建設など、巨額の投資も必要にはなりますが、輸送コストを含めても現在の輸入価格の２分の１程度で米国産ＬＮＧを調達できるようになれば、電力料金の抑制や貿易収支の改善が期待できます。

　シェール革命で２０１７年までに米国における石油・ガスの生産量が世界最大となる見込みで、日欧などの消費国が、中東やロシアに資源を依存する体制が変わるうえ、安全保障から企業戦略まで幅広い影響を及ぼすことになりそうです。

　シェール革命により、米国内でも関連施設の建設など巨額の投資が必要になることから、関連作業に従事する雇用・人口・住宅の大幅な増加が見込まれています。今年はランドバンキングやプロパティバンキングといった、米国不動産投資プロジェクトから目が離せない年になりそうです。

　こうした状況を背景として、住宅市場の底入れ期待が広がっており、Ｓ＆Ｐケース・シラー住宅価格指数で、主要20都市の平均価格が昨年６月以降、上昇に転じています。とくにメキシコ国境に近いカリフォルニア州、アリゾナ州など米西部は、中南米からの移民が多く、人件費や土地代が安いため、大企業の進出が相次いでいることから、今後の人口増加と経済成長による地価上昇が期待されます。

ｉＰＳ細胞の実用化で平均寿命100歳時代へ
最新の医学研究や治療を手がける神戸市の先端医療センターは、目の難病患者を対象にｉＰＳ細胞を使った治療を試みる臨床研究を承認、国の手続きが順調にすすめば、山中伸弥・京都大教授が世界に先駆けて作製したｉＰＳ細胞を使う初の再生医療が、今年中にも国内で始まる見通しとのことです。ｉＰＳ細胞を使った再生医療の実現に向け、国も積極支援する方針で、ｉＰＳ細胞の実用化研究に対し、今後10年間で総額約１１００億円を投じる予定とのことです。
　ｉＰＳ細胞が実用化されることになれば、今後、人間は自動車のパーツを取り替えるのと同じ要領で、体の悪い部分を、体の良い部分の皮膚を移植して治すことが可能になり、将来的に人間の平均寿命は100歳位まで伸びる可能性が高くなると思われます。

　これまで定年60歳、平均寿命80歳を前提としたライフプランの提案をしてきましたが、今後は定年70歳、平均寿命100歳を視野に入れたライフプランを考えていく必要がありそうです。年老いても若々しい体を維持できる可能性が高まったことは、非常に素晴らしいことではありますが、長い長い老後に備えるライフプランの準備が今後はますます重要になっていくことでしょう。

＜今月のマネーの教訓＞
米国でシェール革命を背景とした住宅市場の底入れ期待が広がる。ｉＰＳ細胞の実用化により、定年70歳＆平均寿命100歳を視野に入れたライフプランを考えていく必要がある。

＜筆者＞
木津英隆／謙信アセットコンサルティング(香港)代表取締役。香港在住歴10年の資産運用コンサルタント。ロイター通信、米系格付け会社S&Pを経て、2009年より現職。特に将来的な年金・保険・教育費対策プランニングを得意とする。Email: info@kenshin.com.hk