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中国会計税務の気になる動向 香港の税制の概要
2013.06.29
中国でめまぐるしく変わる税法について、日系企業のみなさまが理解し、中国でのビジネスがスムーズに遂行できるよう、わかりやすく解説させていただきます。
はじめに
前回は、華南地区の日系企業と関わりの深い香港の会計制度の概要についてご説明しました。今回は香港の税制の概要について、中国の税制と対比しながら解説します。
概要
中国の税制は、増値税や営業税のような流通税、企業所得税や個人所得税のような所得税の他にも多岐にわたる税金があり、また、その内容も非常に複雑なものとなっています。
地域によって運用が異なる点も特徴的です。一方、香港では、税金の種類が中国と比較して少なく、かつ、税制自体が非常に簡潔です。ここでは、主要な税金である企業所得税(香港では事業所得税)と個人所得税(香港では給与所得税)について、中国と対比して説明します。
企業所得税と事業所得税
@納税義務 中国での企業所得税は居住者企業と非居住者企業の概念を採用しており、中国に居住する企業は、国内外の全所得に対して全面的な納税義務を有しています。一方、香港の事業所得税は、課税対象が香港内で発生した所得に限定され、香港外で発生した所得に対しては課税されない点が特徴です。
A税率 中国の企業所得税の基本税率は25%ですが、香港の事業所得税の税率は16.5%と非常に低税率となっています。
B納税手続 中国における課税年度は1月1日から12月31日までで、月ごとまたは四半期ごとに仮納付を行うとともに、年度終了日から5ヶ月以内に確定申告を行います。一方、香港における課税年度は基本的に4月1日から3月31日までで、内国歳入局から事業所得税申告書が通常4月上旬に送付されるため、原則として1ヶ月以内に申告書を提出します(延長申請可能)。中国と異なり、年1回のみの申告納付となる点が特徴です。
Cその他 中国における欠損金は、発生した事業年度以降5年間しか繰越控除することができませんが、香港では繰越期限がなく、永久に使用することが可能です。
個人所得税と給与所得税
@納税義務 中国では、中国国内での居住の有無や居住期間によって納税義務の有無や課税所得の範囲が区分されています。一方、香港では、居住の有無や居住期間は基本的に関係なく、香港内で雇用契約が締結されているかどうかによって納税義務を区分しています。香港内で雇用契約が締結されている場合には、原則として全ての所得が課税対象となります。
A税率 中国の個人所得税率は累進税率で最大45%です。一方、香港の給与所得税率も累進税率ですが、最大でも17%と非常に低税率となっています。
B納税手続 中国では、毎月個人所得税が源泉徴収されますが、香
港では、源泉徴収制度を採用していないため、毎年1回、内国歳入局から送付されてくる賦課決定通知書に指定されている納税期限までに税金を支払います。事業所得税と同様、年1回のみの申告となる点が特徴です。
留意事項
以上のように、基本的には中国よりも香港の方が税率が低く、また税制も簡潔でわかりやすいため、中国と香港に拠点がある企業は、香港に多くの課税所得が発生するようにすることが節税の観点からは得策です。
但し、不用意に税額を移転するような取引を行うと、中国側で租税回避行為とみなされるリスクがあるため、専門家と相談の上、適切な節税スキームを設計することが重要です。
<筆者>
山口 和貴
/日本公認会計士。大手監査法人にて法定監査業務、株式公開(IPO)業務、IFRSアドバイザリー業務など、会計税務に関する全般的なアドバイザリー業務の経験を持つ。グラント・ソントン中国 日本デスクのシニアマネージャーとして、中国・香港進出企業に対して様々なサービスを提供している。
本コラムへのご意見・ご要望は、E-MAIL: k.yamaguchi@cn.gt.com まで。
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