レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長
本田直之
東海最前線
東海地方の先端的な試み、ユニークな商品・サービス、意義のある取り組みなどを紹介
短期間で成功を勝ち取るために
ビジネスとプライベートを
両立させた女性になるために
ワンランク上のステージで
活躍するために
問題解決をすばやくするために
国際力を身につけるために
ビジネスを円滑にするコツとは
コミュニケーションが
上手になるために
人の上に立つ時に必要な考えは
心身ともに美しくなるには
感性豊かな毎日を送るには
運営:
株式会社コミュニケーションデザイン
Home
>
HKM-日商快訊-
>
コラム
> 中国会計税務の気になる動向 中国における企業評価
HKM-日商快訊-
[ 中国 ]
HKM-日商快訊-
[コラム]
中国会計税務の気になる動向 中国における企業評価
2013.10.27
中国でめまぐるしく変わる税法について、日系企業のみなさまが理解し、中国でのビジネスがスムーズに遂行できるよう、わかりやすく解説させていただきます。
はじめに
前回は、M&Aを行う際に必要となる企業価値の評価方法について説明いたしました。今回は、M&Aに関する税務関係の論点について概括してみたいと思います。
M&Aに関係する税金項目
中国において、合併・持分譲渡などを実施した場合には、企業所得税、増値税、営業税等の税金について検討する必要があります。
企業所得税は、納税対象者が中国居住者企業であれば企業利益に対して25%、非居住者企業であれば持分売却益に対して10%の税金が課されます。
増値税や営業税等の流通税は、M&Aに際して会社の資産、債権債務、労働力等を全体として譲渡する場合には課税されませんが、個々の資産を譲渡する場合には課税されることになります。
全体としての譲渡か個々の資産の譲渡かの判断は主観的な要素も加味されますので、注意が必要です。
一般税務処理と特殊税務処理
中国におけるM&Aにおいては、企業所得税が最も重要な課税項目になりますが、企業所得税の課税関係を検討するに際しては、「一般税務処理」と「特殊税務処理」の区分に注意しなければなりません。
「一般税務処理」が適用される場合、持分売却益に対してただちに課税されてしまいますが、「特殊税務処理」が適用された場合、課税関係が将来に繰り延べられることになります。
特殊税務処理を適用するためには、5つの基本要件を備えなければなりません。
具体的には、
@合理的な事業目的、
A再編対象となる資産または持分の比率が75%以上、
B再編資産による実質的な経営活動を継続すること、
C支払形式のうち持分による支払が85%以上を占めること、
D再編後の持分を12カ月継続して保有し続けること、
の5要件です。
同じような制度は日本にもありますが、Cの支払対価のうち、15%までは現金が含まれてもよい点が日本の税制と異なり、Dの継続保有要件について、事後的な判断が行われるおそれがある点において、日本の税制と実務上の運用に差異があります。従いまして、中国でM&Aを行う際には、上記5要件の具備を確認するとともに、
実務上の運用について注意しなければなりません。
クロスボーダー組織再編を行なう際の注意点
日本の親会社が中国現地法人の持分をグループ内の企業に譲渡する場合、その譲渡益に対して、中国において課税されます。
日本国内だけで行われた持分譲渡であったとしても、中国現地法人に関する持分の譲渡である以上、中国税制上、「中国国内源泉所得」と取り扱われるためです。
この場合の税率は持分譲渡益に対して10%となります。一方で、日本の税制においても「全世界所得」に対して課税することになっているため、当該取引に対しては日本でも課税される点には留意が必要です。
終わりに
以上のように、中国現地法人のM&Aは、課税の要否について主観的な要素が介入する余地があり、また、日本と中国の両国における課税の有無を検討する必要があるため、非常に複雑なものとなります。
予想外の課税を回避するためにも、M&Aのスキームを検討する段階から、日本と中国の両国の税制に習熟した外部専門家に相談することが有用です。
<筆者>
山口 和貴
/日本公認会計士。大手監査法人にて法定監査業務、株式公開(IPO)業務、IFRSアドバイザリー業務など、会計税務に関する全般的なアドバイザリー業務の経験を持つ。グラント・ソントン中国 日本デスクのシニアマネージャーとして、中国・香港進出企業に対して様々なサービスを提供している。
本コラムへのご意見・ご要望は、E-MAIL: k.yamaguchi@cn.gt.com まで。
■ 他のコラムを読む
「HKM-日商快訊- E-mail版120229<最新号のお知らせ>」2012.03.07
「メイド・バイ・ジャパン in チャイナを中国で売る! 中国産業スペシャリスト4人の日系企業の内販への提言」2012.03.09
HKM-日商快訊- のコラム一覧へ
Copyright (C) 2013 TOP BRAIN, All Rights Reserved.