酒井穣
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香港FA木津英隆の「マネーは巡る」 第二十四回 混迷する日本の社会保障改革
2013.10.27
将来、自分が何歳からいくら年金をもらえるのか、それどころか年金そのものをもらえるのかどうか、不安になってきた時代。在香港の日本人ファイナンシャル・アドバイザーが、海外に駐在している時だからこそできる、将来に備えた年金・保険対策を、分かりやすく説明していきます。
第23回参院選で自民党が圧勝、衆参のねじれが解消し、向こう3年間は大きな国政選挙が予定されていないため、いよいよアベノミクスの真価である成長戦略の行方が焦点となってきています。
成長戦略と規制緩和は表裏一体ですが、各業界団体とのつながりが深い族議員の多い自民党政権がどこまで思い切った改革を進めることができるのか、私たち国民がしっかり政府を監視して、また3年後の選挙で審判を下す必要があります。
消費増税や社会保障制度の改革といった重たい問題も、今回の参院選では議論が棚上げされてしまいましたが、短期的な成長戦略だけではなく、中長期的な財政再建策も素通りできない問題です。
増税か、年金の削減か、二者択一の選択肢
現在と同水準の公的年金・医療保障制度を継続する道なら、将来に渡って大幅な増税が続くことになりますし、増税が国民生活に与える影響が大きすぎると考えるなら、年金支給開始年齢と医療費の自己負担率を大幅に引き上げていくしか道はありません。
これまで安全運転を心がけてきた安倍内閣も、増税の継続か、年金と医療の削減か、いよいよ頭の痛い問題に対して二者択一で選択しなければならない時期が来ています。
年金の専門家の意見に目を向けると、鈴木亘・学習院大学教授は「現行制度のままでは、厚生年金は2033年に、国民年金は2037年に積立金が底を突いてしまう」と分析しています。
一方、各企業の60歳以降の再雇用制度が十分に普及しているとは言えず、いまのままでは、厚生年金と国民年金の積立金が底を突く2030年代以降、高齢の浮浪者が日本中に溢れかえることになります。
消費増税は「止血剤」にすぎない
また、法大の小黒一正准教授の談話によると、2014年度からの消費増税は「止血剤」にすぎず、「税率を5%から10%に引き上げても、日本の財政運営が行き詰まる時期を4年ほど遅らせるだけで、財政破綻を回避するには消費税率を30%以上まで引き上げなければならない」と話しています。
日本国民がこれだけの負担増を容認できるはずもなく、増税の規模を抑えつつ、1000兆円に上る債務の膨張に歯止めをかけるためには、歳出の削減にも本腰を入れざるを得ない状況です。歳出削減を実現させるためには、国の一般会計予算の3割を占める社会保障費の効率化が必要です。
高齢化の進展などで自動的に膨らむ年間約1兆円の「自然増」に切り込まない限り、消費増税に踏み切っても穴の開いたバケツに水を注ぐのと同じ状況と言えます。
いまの日本に最も必要な政策は、徹底的な歳出削減と規制緩和によって小さな政府を実現させ、外資優遇政策によって世界中の優秀な人材を集め、豊富な財政黒字を擁する香港やシンガポールのような自助努力型の社会に移行していくべきだと思います。
年金も医療も、年功序列社会の代償として、これまでは国や会社が面倒を見てくれましたが、もはや国や会社に頼れる時代ではなくなった、自分の身は自分で守る時代がやってきた、と考えるのが賢明です。
<今月のマネーの教訓>
穴の開いたバケツに水を注ぐような消費増税を止めて、社会保障費の効率化、小さな政府を実現させよう。
<筆者>
木津英隆/謙信アセットコンサルティング(香港)代表取締役。香港在住歴10年の資産運用コンサルタント。ロイター通信、米系格付け会社S&Pを経て、2009年より現職。特に将来的な年金・保険・教育費対策プランニングを得意とする。Email: info@kenshin.com.hk
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