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久恒啓一
宮城大学事業構想学部教授 [ 仕事術 ]
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久恒啓一
[インタビュー]
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図で考える人は仕事ができる/日本経済新聞社(1)
2005.07.03
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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常に世の中と株価市場が繋がっていると 考えるといいと思います。
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構想力のある人材を育てよう
【主藤】 今日のゲストは、日本経済新聞社から出版され10万部を突破するベストセラーになりました、「図で考える人は仕事ができる」の著者でいらっしゃいます、久恒啓一さんにお越し頂きました。久恒さん、今日は宜しくお願いします。
【久垣】 はい、宜しくお願いします。
【主藤】 久恒さんはJAL、日本航空から大学の教授に転身され、非常に興味深いご経歴をお持ちで、なおかつベストセラーになる本をお書きになっています。
まずは、現在大学でどのようなことを研究されていらっしゃいますか?
【久垣】 宮城大学は「構想力の欠如が日本の病である」というふうに考えていまして、構想力を身に付けた人を育てようということで8年前に始まった学校なんです。アイデアマンはたくさんいますし、それから計画を実行できる人もいますが、その間をつなぐ構想力のある人が政治や行政にもなかなかいませんよね。
そういう意味で人材を育てようということになりまして、現在、企業や行政の具体的な事例を研究しながら、事業構想力を身に付けた実践型の人材育成教育をしています。
【主藤】 事業構想というのは、すごく難しそうな学部ですね。
【久垣】 初めてですよね。実は90年に書いた「図解の技術」という本を読んだ初代の学長さんがこの学部に非常に必要だということで、無理やり会社を辞めさせられた経緯があるんですよ。
【主藤】 ご自身が出された本がきっかけとなってヘッドハンティングされたんですか。
【久垣】 はい。初めて一人で書いた本を読んだその先生から引き抜きがあったので、ビックリしました。
【主藤】 その本に書かれていたことと、本当に大学がやろうとしたことが一致したと。
【久垣】 結果的にそうなっているはずです。
図で考えることで仕事がスムーズに
【主藤】 大学の授業ではもちろん、学部で久恒先生が担当されている学部は事業構想学部というくらいですから、そこでも図で考えるような考え方、構想力というのが鍛えられます。この図で考えることの重要性はいつ頃お気づきになられましたか?
【久垣】 実は私、学生時代から社会人にかけて、どうして自分は頭で考える力がないんだろうかとずっと悩んでいたんです。いつも人や本の請売りで、大学の先生に「どうやったら自分の頭で考えることができますか?」と質問したことがあります。
すると先生の答えは、非常に迷惑そうな顔で「久恒くん、そういうことは自分で考えなさい」という話だったんですよね。それ以降、教えてもらったことがありません。しかし仕事の中でやはり単なる請売りだと仕事になりませんよね。そして自分の頭でどうやって考えたらいいのか、ずっと考えた結果、図を使ったらいいんじゃないかと考えついたのが、30代に入ってからです。
会社はどこでもそうですが文章が書ける人が仕事ができるといわれます。そういうなかで図を使ったところ、結構仕事がうまくいくようになりました。また、秀才は図に弱いということがわかりました。
【主藤】 秀才は図に弱いと。
【久垣】 みんな文章中心ですよね。だから図を使うとみんな、イチコロでやられるんです。それで仕事が非常にうまくいくようになりました。図を使い始めてから仕事が非常にスムーズにいくようになったことで、もっと難しい仕事や本社勤務を任されました。
最後は広報の課長から会社の立て直しのプロジェクトに加わることになりました。これは仕事があまりできない人が、仕事ができるようになる技術なんです。仕事がうまくいくようになりますから、みなさんにも是非頑張ってほしいと思います。
【主藤】 自分のスタイルが請売りということで、要は他人から教わった知識そのまま使うということは受験の時など意外と役に立ちませんか?
【久垣】 それは受験の時だけでしょう。しかし受験の時に覚えたことは、もう一切頭にないですよね。あれは空気に触れるとなくなってしまう揮発性の知識で、全く意味がないのです。深く処理したものとか、本当に自分で考えたもの以外、身に付いてないと思うべきですよね。
僕は小中高、大学も行きましたけど、いろんなことを学んだはずなのにほとんど覚えていません。つまり教育の仕組みがやはり間違えていると思います。だから教育界にもこの考え方を入れようとして、いろんな教育委員会とかに呼ばれて多くの講演をしています。
【主藤】 日本人はとかく金太郎飴のように誰も個性がないといわれます。
【川崎】 そうですね。
【久垣】 それから考える技術が、どうもなかったんじゃないかと。よく哲学書や考える力をつける本を読みますが「実際に力がついた人はいますか?」と言いたいですね。
私達は人の読んだものをただそのまま請売りして、しゃべっているだけではないでしょうか。だから日本が低迷しているのだと思います。
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