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久恒啓一
宮城大学事業構想学部教授 [ 仕事術 ]
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久恒啓一
[インタビュー]
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図で考える人は仕事ができる/日本経済新聞社(4)
2005.07.03
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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常に世の中と株価市場が繋がっていると 考えるといいと思います。
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世の中を変える図解革命
【主藤】 久恒さんは本の中で「図解ということが非常にいい一方で劇薬でもあるからちょっと注意した方がいい」というふうに、きちんとお話されていますよね。
【久垣】 はい、図は仕事にものすごく効きます。それは私が証明しているわけですが、仕事のできない平凡な社員が、図で考えることで仕事ができるようになったんですよ。だから今、ここでしゃべっているでしょう。物事を図で考えるようになって、自分自身の言葉で物が言えるようになりました。
【主藤】 しかし劇薬であるのはなぜですか?
【久垣】 例えば世代間でいうと上の方ほど文章主義です。それから官庁、各企業の本社、法律とか、世の中を形成している部分はまだ全部文章でできているんです。
そうすると、そういうところに提案する時に、劇薬なので彼ら一生かけて築いてきた文章中心主義を一気に崩されるわけですね。いわばそのテロに対して、拒否反応示す人がいます。上司はどの程度のレベルかよく見ながら、上司のレベルが高ければ、図で示しなさい。そうしないと、自分が劇薬を浴びるよという意味ですよ。
【主藤】 なるほど。
【久垣】 これを図解革命と呼んでいますけどね。図解革命は最終的には全部変えるわけですが、徐々に広がっていっていますよ。
例えば最近、裁判所、行政、教育委員会、企業の経営者とかいろんなところで呼ばれて、講演や研修が多いんですけど、そういうのが着実に近付いてきている感じはありますよね。この前、最高裁で講演しましたよ。
【主藤】 裁判所でも図で考える思考を取り入れる時代になってきたわけですね。
【久垣】 必要になってきましたね。私、実は法学部なんですよ。九州大学法学部で、全く勉強しませんでした。
なぜかというと、私の時ちょうど東大入試がなかった年で、すごくレベルが高かったんです。ところが、学生運動で誰も学校に行かなくなっちゃったんですね。そして卒業する時に法学部長に言われました。「君達は史上最高の成績で入った。しかし君達は今出る時は史上最低である」と。だから僕は法学部であることを隠しながら人生、生きてきたんです。
ところがよく考えると、法律というのは論理ですから、論理の積み重ねですから図解になじむはずです。いずれ僕は図解六法全書を出してやるぞと言っているんですね。
【主藤】 いいですね。
【久垣】 そうすると、専門家は怖いですよ。こんな簡単なことをやっていたのかということがわかりますからね。
しかしそういう行政改革もあるし、それから新しい裁判員制度の導入もあるし、そういう考え方を入れざるを得ないと思います。そういう流れが始まってきているんじゃないかと感じていますけどね。
自分の足元を掘り下げて問題解決をしよう
【主藤】 最後に1分間、久恒さんの方からリスナーの方にメッセージをお願いします。
【久垣】 ビジネスマンの方が多いと聞いていますので、ちょっとアドバイスしたいんですけども、やはり仕事が一番大切ですね。この仕事は何かというと問題解決です。
要するにどこに行っても問題だけがガランと転がっています。そして問題を解決すればいいということで、あとは何も要らないんですよね。この時に、知識で問題を解決することはなかなかできません。それから他の分野でやっていたことを導入してもできません。やはり自分で考え、自分で自分の現場を見ながら解決するということが大切です。
よく我々忘れているのは、足元の現場を掘ることです。みんな、アメリカの場合はこうだとか、政治的にはこうだとか、そういうことで解決しようとしていますが、やはり日本は勉強病の国なんです。勉強さえすればいいと思って、朝から晩までみんなやっていますよね。これは不幸なことであって、勉強病というか真似とパクリで仕事をしようという根性なんですよ。だからむしろ、自分の足元については自分が一番よく知っているわけだから、足元を掘りに掘って、大事な言葉を発見するということがいいと思います。
それからもう1つ、これは3年前に出したんですけども段々私も発展してきて、今度日経から合意形成に関する本を7月に出す予定です。
これはもちろん図解も入っていますが、私達の社会は数字、定量情報というのを非常に大切にしようとします。僕は間違えていると思います。むしろ意見とか苦情とか、そういうゴツゴツ、バラバラした情報が私達の周りにありますよね。そういったものが未来を形成するので、定数情報と図解というものを使って、社内の合意とか国民と行政との間の合意、地域活性化の合意を考えるべきではないでしょうか。今度7月の半ばには出ると思いますので、是非それも読んで欲しいと思っています。
【主藤】 楽しみですね。本日は本当にいろんなお話をお伺いしてきました。 いかに人間というのが、文章に囚われているか、日本人というかね。図で考えることが実はいろいろな諸問題を解決する、非常に簡単で有効なツールということがわかりました。
本日は「図で考える人は仕事ができる」の著者でいらっしゃいます、久恒啓一さんにお話をお伺いしました。どうもありがとうございました。
【久垣】 ありがとうございました。
【川崎】 ありがとうございました。
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