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川田茂雄
クレーム研究会主宰 [ 経営 ]
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川田茂雄
[インタビュー]
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社長を出せ!/宝島社(2)
2005.09.25
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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どんなクレーム処理が上手くいっても、 お客様がいなくなっては意味がないのです。
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クレームを処理するようになったのは・・・
【主藤】 金銭的にも保証するのが限界があると言いますか、不可能なものに対してのクレームを取り扱っていらっしゃったからこそ、非常に中身も深いですし、臨場感溢れる内容になっていると思うんですけども、これは川田さんご自身はそもそも何故そのクレームを担当するようになってしまった、って言っていいですかね、なっちゃったんでしょうかね。
【川田】 そうですね。クレームの処理の世界っていうのはですね、やっぱり企業の中から見たらかなり下のレベルなんですね。上下でいうとおかしいですけども。やはり本社、企画、開発からですね、製造、販売、サービス、アンタッチャブルぐらいの世界なんです。あんまり力が入らないところなんですね。私も製造部門でいい部門を歩いてたんですけども、まぁ出来が悪いということでクレーム処理に回っていったと思いますけどね。
【主藤】 最初、所長時代から所長という立場でありながらクレーム処理をされていったという?
【川田】 そうですね。ですから所長ですからね、特にクレーム処理ばっかりやる必要はないんですよね。まぁ、偉そうに座ってていいんですけども、「出来ない仕事は何でも持って来い」ってこれでやりますから。「出来ない仕事はみんな持って来い」って言うと持ってくるのはクレームなんですよね。
【主藤】 しかもかなり悪化したクレームが多かったりとか?
【川田】 そうですね。どうにもならなくなったようなものですよ。それを聞きつけると営業でも本社でもですね、工場でもどんどん、どんどんみんな持ってくるんですよ。
【主藤】 他部署のですか?
【川田】 そうです。ですから後から考えてみると、もうクレーム処理ばっかりやってたな、っていうことですよね。
【主藤】 ということは本業があったわけですね。その社内で?
【川田】 ええ。サービスセンターの所長ですからね、様々な仕事はあるわけですよ。
【主藤】 だけれども、他の部署の方からも是非お願いしますよと?
【川田】 そうですね。1件やりますと、2件、3件と増えていきますよね。これは間違いなく。もうみんなこう逃げますからね、クレームとなると。
【主藤】 そうなんですね。でもそれ嫌じゃなかったですか?そういうお願い事をされるっていうのは。
【川田】 やはりサラリーマン、基本はですね、出来る時に出来ることをやる。貸しが作れる時には貸しを作っとく、これですよね。
【主藤】 貸しを作っておく?社内での。
【川田】 世の中みんなそうだと思うんですが、自分で出来るんだったら何しろ一歩踏み込んでやってあげてね、相手に貸しを作っておけば、まぁそのうち自分が困った時に何か応援してくれるんじゃないかな、というね、そういうとこでしょうね。
【主藤】 そうですね。それ必要ですね。
【川田】 相手が出来ない、って言うんであればね。
自分で解決したいという強い意志でクレームを解決
【主藤】 そうやって引き受けるっていうのもね、お話では簡単ですけども、これは本にも再現されてますけども、これ本当に戦いですよね。
【川田】 そうですよね。
【主藤】 半分監禁されることもあれば、監禁されると分かっていながらも行かなければいけない。
【川田】 そうですね。
【主藤】 本当そこまでね、よくあの、途中で投げ出したいとは思わなかったですか?
【川田】 もう取り掛かったらそういったことはないですね。やはり何としてでも自分で解決したいという意思が強かったですね。
【主藤】 でも、今度は川田さんには当然上司がいらっしゃるわけですよね。
【川田】 そうです。
【主藤】 川田さんの上司にお願いするっていうことは?
【川田】 1件もないんですよね。
【主藤】 1件もない?
【川田】 ええ。35歳、主任の肩書きからクレームを処理始めるんですよね。まぁ20数年で5〜600件のクレーム処理しましたけども、1件たりとも「出来ません」って横に振ったことはないですね。上司に振ったことはないんで。
【川崎】 すごいですね。
【主藤】 しかしこれあの、クレームする側も「お前じゃだめだと」言いませんか?
【川田】 もう相手にしてくれませんよ。会いに行きましてもね。もう家に入れてくれないですね。「あなたどういう立場の方ですか?」ここから始まりますもんね。だから「サービスです。」というと、「お宅の会社サービスは問題ない。悪いのは社長なんだから。」とこうですよね。「社長を呼んでらっしゃい」と。
【主藤】 殆どのこのラジオを聞いている方もクレームを担当した時にそういう風に言われるともう戻って、上司に言って、「すみません。課長、部長」ということで、段々上に持っていくと思うんですけども、何故川田さんはそれをなさらなかったんですか?
【川田】 それはですよ、やはり私の後ろを見てですよ、私の上司が私よりクレーム処理が上手いかどうかって言ったらですよ、それはそんなことはないわけです。クレーム処理の上手い人なんかいないんですよ。ただたまたまそのポストにいる、っていうだけですからね、サラリーマンっていうのは。だから誰がやっても同じなんですよね。ただその権限がないとか、責任がないと言って逃げるんですよ。
【主藤】 じゃあそれはもう逃げちゃいけない?
【川田】 そうですね。ただ最低限お客様から質問を受けて即答出来ないと、もうそれで終わりですね。いろいろ質問されてですよ。お客様の方が知識が上だともうそれで負けですよね。
【主藤】 なるほど。
【川田】 「答えられる者を連れて来い」になりますから。
【主藤】 まずお客様からの問い合わせだとか質問に即答出来るっていうことがもう最低条件に?
【川田】 そうですね。ですから自分の扱う商品ですとかサービスね関係業界のこと、歴史的なこと、そういったことは知識としては一通り抑えておかないと。
【川崎】 最低限は。
【川田】 ええ。最低限ですね。まずはそこですね。それと後はこの問題については私に任されている。「この地域については全て私に任されてますので、何とか私とお話をさせて下さい」と言って頑張ってくるしかないわけですよね。
【主藤】 窓口を自分に絞るわけですか?
【川田】 会社は一筆くれないんですよ。「川田に全てを、お前に任せる」なんていうことはですね。一筆は何もないんですよ。ですからみんな「私にはそういう権限がない」と言って、上司にふってくわけですよね。
【川崎】 それはちょっと逃げちゃっているようなことになるわけですね。
【川田】 そうですね。誰だって会社から一筆もらえるわけがないんですね。
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