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くらたまなぶ
株式会社あそぶとまなぶ代表取締役 [ 仕事術 ]
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くらたまなぶ
[インタビュー]
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MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術/日本経済新聞社(4)
2005.10.23
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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訓練すれば、誰でも ものを開発する仕事はできるのです。
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プレゼンの前にブレーンストーミングをしていますか?
【主藤】 もう1つ、くらたさんにお尋ねしたかったのが、プレゼンテーションなんですね。実はプレゼンテーションというのは、自分が社長の場合や仕事において起業する場面でも必要ですし、サラリーマンでも上司や社長に対して新しい提案をする時に非常に重要だと思うんです。でも、このプレゼンテーションが苦手っていう方、多いと思うんですね。
【くらた】 さっき言った、“名刺じゃない”とかブレーンストーミングとか前半の大風呂敷を広げる、ありとあらゆる選択肢を出すということです。名刺だった1個の使い方よりも10、10よりも100。もし名刺じゃない使い方、1万出せたら御の字。そこらへんが前半ですよ。その後、結局はその新しい名刺の使い方という決済をしなければいけない時は、1つ選ばなければいけないんです。
そうすると、1万から選ぶって楽じゃないですか。そして1万の中にはかなりユニークで、将来の名刺の存在を揺るがすような使い方の「へえー、21世紀って名刺って自己紹介に使っていたの」みたいなものを選び取る。それが後半。決済ですよ。普通の皆さんがやられている真面目な、固い、人を否定しあう方法です。つまり9999を否定したら、1個を選べるんです。
前半のアイディアを出しまくるということは、みんなOKしまくる。どんどん出せばいいんで。プレゼンとは、徹底的に否定をしまくる、できるのか、できないのかっていう会議ですから。だから苦手な方も多いと思うんですけども、ただその方にまずアドバイスするのは、まず前半に広げたのかということ。
【主藤】 プレゼンの場面の前半という意味ですか?
【くらた】 プレゼンじゃないです。
【主藤】 プレゼンをする前。
【主藤】 前段階。プレゼンというのは、もう最後の最後。ゴールテープ切るところですから、それまでに42.195キロ走っているような話。そう大げさなことを言わなくてもいいですよ。何か1つの企画を、またビジネスじゃなくてもいいです。
例えば、飲み会を設定するとします。これも企画ですからね。その飲み会のレストランをナビかなんかで100軒、候補を挙げた方が後で決めるときに楽になるわけですよ。後半の作業は1軒に絞り込むと。それときはかなりシビアに、予算は?立地?空間は?メニューはどう?コックさんは?板さんは?個室はあるか、なしかとか、叩いて、叩きまくって1個を選ぶ。それをお相手の、飲み会をする方々に「これでいいですか?」って聞くのが、プレゼンテーションです。
それは仕事も同じじゃないですか。できないとか、苦手とか、上司が反対するという人が時々いますけども、僕長年やって成功も失敗もしながら、プレゼンってこの一言で要約できると思います。プレゼンテーションって、大好きな彼や彼女と結婚したいという話を親に説得することだと思うんですよ。
【川崎】 そうしたら、すごい頑張りそうですね。
【くらた】 そうすると、僕が言った前半というのは、ガールフレンド、ボーイフレンドを10人、100人、1000人見てきましたか、デートしてきましたかということ。その中から1人選びましたかということです。
それを煮詰めて、煮詰めて、煮詰めたら親の説得なんか、もうちょちょいのちょいという感じじゃないですか。だからそれができないという方がいたら、2個しかないんですよ。
ちゃんと愛し合っていないか、愛し合っているのにそのことをちゃんと言葉にできないかのこの2個しかないんです。でも大体は前半の1個しかないんですよ。ちゃんと愛せない。愛せないというのは、カラオケ屋に行ったときのように拍手をゲットした感覚をまだ持ってないということ。「目をつぶって歌っていたんじゃないの?」ということです。それを親のところへ行って、「尾崎豊のアイラブユー、歌ってもいいですか?」って言ったら、「だめだ、そんなもの。」と親に言われて、「だめですか。ひどいなあ、反対されちゃった」って帰ってくるだけですよ。「反対するよ、それは」ってことですね。
それは、手ごたえを持っていないからですよ。本当の恋愛で、相手のことが大好きで、相手の親に反対された時って、駆け落ちするじゃないですか。駆け落ちって、独立ってことですよ。
もうこの会社でやらない、外に出てやるっていうぐらいのものじゃないですか。だけど、本当に矛盾しているんですけども、リクルートって、独立する人間が多いんですけども、プレゼンする時に独立してもいいぐらいの思いでやって、真剣にやっていると通っちゃうんですよ。話が矛盾しているでしょう。独立してもいいからやったら、OKされたからやっぱり組織内でやろうとなるんですね。
答えは自分の中にはない 【主藤】 この本の中でも辞める気でやったプレゼンテーションのエピソードが書いてありますね。今、一貫してキーワードになっているのが、人の話を聞くというところが、始めからずっとつながっていると思うのですが。
【くらた】 アイデアの素とか、起業を起こす仕事術の素とか、さっき言った飲み会のようなプライベートの発想のヒントでも、何でもいいんです。小さいことでも、大きいことでも。
その素は自分の中には絶対にないんだということに気付くことなんですよ。自分の中にあると気付かないとナルシストビジネス。ナルシスト仕事になるんですよ。
【主藤】 一人よがりな仕事になっちゃうと。
【くらた】 慌てて付け加えると、芸術家はOKです。ゴッホさんは、OK。黄色いひまわりだけ死ぬまで描き続ける。ただ残念ながら今、聞いている方が「よし、ゴッホを目指そう」という方、貧乏でもいいのかなって。亡くなった後に、子孫がお金持ちになるというのでOKあれば、あり。
僕は一応芸術家ではなくて仕事で、あるいはプライベートでも拍手を受けたい、仕事だったら多くの人に満足していただいて、その後、お財布からお金を頂戴しないとね。生きている間にウケたい、売れたいと思っているときに、自分の中に答えはないと。
【主藤】 そのために人の話をちゃんと聞くと。
【くらた】 外側にしかないと。
【主藤】 外側に。なるほど。今日は非常に奥が深いお話をわかりやすい例え話を交えて、お話お伺いしました。
【くらた】 仕事術(ジュツ)。
【主藤】 仕事術。はい。
【くらた】 からかっているんじゃなくて、発想する時、子供に戻るのもいいんです。だからすごくいいんですよ。
【主藤】 なるほど。
【くらた】 「創刊男」の仕事術って言うと、名刺、手裏剣だぞとか、鉢巻きの間に名刺2個やって鬼ごっことか、そういうことが出てくるんですよ。
【主藤】 そういうことも。
【くらた】 真面目なことって、メモ帳以外、出てこないじゃないですか。
【主藤】 そういう、ふざけたような子供に戻るってこともOKという環境設定、上司としてのルール、許すということが必要なんですね。
【くらた】 ちょっとまだ弱いですね。 【主藤】 まだ弱いですか。
【くらた】 「それもOK」じゃ、ダメですよ。「子供になろうぜ」って、いかないと。
【主藤】 「なろうぜ」と。
【くらた】 「まだ大人やってるの?」とか言わないと。腕組みしながら、「まあ、今日は子供になってもいいよ。」というのは、全然なっていないですね。
【主藤】 なるほど。ありがとうございます。いろいろと。最後にリスナーの方に一言、メッセージをお願いしたいんですけども。
【くらた】 もう何度も言いましたけども、答えは自分の中にない。相手にしかない。すぐいつもお付き合いしているご家族でも、恋人でも、配偶者でもその何かXというテーマあったら聞いてみて下さい。聞いていないことが多いと思うんで、聞いて下さい。そうすると思わぬ答えが返ってきて、驚かされたり、発見があります。
【主藤】 はい、ありがとうございます。本日は、「MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術」著者でいらっしゃいます、くらたまなぶさんにお話を伺いました。くらたさん、ありがとうございました。
【くらた】 ありがとうございました。
【川崎】 ありがとうございました。
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