|
|
関橋英作
クリエイティブ戦略家 [ マーケティング ]
|
|
|
|
|
関橋英作
[インタビュー]
|
クリエイティブとは世の中を変える力(1)
2007.03.25
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
|
|
昔の成功体験や既成事実、固定観念に囚われていると絶対に変化することは出来ない
|
数々の成功したCMの仕掛け人
川崎 本日のゲストはダイヤモンド社から2月16日に出版された注目の話題作「チーム・キットカットのきっと勝つマーケティング」の著者でいらっしゃいます関橋英作さんです。
高城 関橋さん、本日はよろしくお願い致します。
関橋 こちらこそよろしくお願いします。
高城 まず最初にお聞きしたいことがあるのですが、デビアスダイヤモンドといいますと “婚約指輪は給料の3ヵ月”ってありましたよね。もしかするとあれは関橋さんがお作りになったのですか?
関橋 ええ、そうですね。日本では給料の3ヶ月分を目安に、と言ってますけど実は国によって違うんですよ。イギリスは2ヶ月でアメリカは1ヵ月とか。
高城 関橋さんが決めちゃったわけですね、世の中の基準を。
関橋 決めちゃったと言うか、いろんな有名人の方が婚約発表でダイヤモンドを見せて“給料の3ヶ月分”とか言ってたので一般の方は慣習だと思ってるんですけど、実はデビアス社とJWTが仕掛けたものだったんです。
高城 更に “Shall we Haagen-Dazs?”っていう、これもそうですよね。
関橋 ハーゲンダッツですね。アイスクリームって女性と子供のものだけだったんですよね。それがちょうど1990年くらいにハーゲンダッツというプレミアムアイスクリームが日本に上陸して、すごく美味しかったんですけどすごく高かったんですよね。
高城 そうですよね。
関橋 それをどうやって売ろうか、大人に売らないとこのマーケットは広がらないだろうということでちょっと大人っぽいキャッチフレーズを、ということと、ハーゲンダッツという名前を知ってもらうということでキャッチコピーの中にハーゲンダッツを入れたんですよね。
高城 この「きっと勝つマーケティング」にも書いてありますけど、外資系のコマーシャルってこの“Shall we Haagen-Dazs”は意味は分かるんですけど、あまり意味の無いキーワードってありましたよね。車とかファーストフードとか。それとは違うんですね。
関橋 ええ、そうですね。或る意味で日本人が日本のマーケットのために作った、ということですね。ですから例え英語であっても何となく意味が感覚として分からないと通用しないですよね。ですから例えば有名なナイキの“Just Do It”ってカッコいいですけど、「何のこっちゃ」みたいな感じで何も意味が通じないですよね。
高城 全然記憶に無いと言うか、形になっていないですよね。
川崎 訳せないですよね、言われても。
関橋 ですからそういうことはちょっと避けようと思って、大人の雰囲気を出しながら何となく惹かれていくっていう。皆、高校ぐらいでShall weとかって丁寧な言葉を学校で勉強しましたよね、あれですね。
今やキットカットは受験生のお守り
高城 そんな広告業界の王道を外資系でお勤めになった中で、今回の本が「チーム・キットカットのきっと勝つ」。てっきり表紙がキットカットの絵なのかと思いましたらお守りが表紙なんですよね。これはどういう意味ですか?
関橋 これは大人の方にはちょっと分からないかもしれないんですけど、高校生とか大学生に聞くと殆ど100%知ってますね。つまりキットカットは今や受験生のお守りになっているんですよ。
高城 え、そうなんですか?
関橋 ええ。もともと福岡の大宰府の辺りで、高校生が必ず受験に受かりますようにって彼らが自分達でおまじないをかけていたんですよ。それが福岡弁で「必ず勝つよ」は「きっと勝っとぉ」って言うんですよ。
高城 なるほど。
関橋 ですから僕ら企業がダジャレで押し付けた訳ではなくて、高校生が自発的に自分達のお守りとして考えたんですよね。そういう情報を手に入れて、ネスレの社長と僕らでこれは消費者の気持ちをすごく捉えてるな、と思ってそういうキャンペーンを始めることにしたんですね。
川崎 電車の中で全部の広告が“サクラサクヨ”っていうことでご覧になった方もいらっしゃるかもしれないんですけど、商店の方から有名な方から本当に身近な人、それから受験を乗り越えた人のメッセージが写真とともに出ているのを見て、私受験生じゃないのに読んで感動したのを覚えています。
関橋 それは去年、一昨年と2年やってましたね。この受験キャンペーンを始めたのは2003年ですかね。彼らにとってはものすごいシリアスな問題ですよね、ダジャレで済ませられるような問題じゃないですから。
高城 真剣ですよ、それは。
関橋 ですから如何に広告臭を出さずに、彼らをどうやって応援してあげられるかっていうことが僕らの一番のテーマだったんですよ。広告屋なのに広告をしないで彼らの背中をそっと押してあげるっていうことですね。
|