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「久保田式経営塾」二十四限目 日本本社と現地の権限。現地に任せきれない本社-1
2012.03.12
2年目を迎える当連載の主旨は、講義内容を誌上で公開することで情報共有を促進し、日系企業に問題提起をおこない、改善への活力を生み出すことにある。新しく中国現地に赴任した日本人及び日系企業で働く中国人の中でも本気で勉強したい者たちを誌上の生徒とする。
これまで日本人の中国赴任契約について述べてきたが、今回は経営管理について。ここ中国では、物造りの専門家は大変多いが、総経理を中心とした経営管理の中国版ISOが存在しない。久保田は、毎月の久保田塾で講演しながら骨格を作り、時間をかけて近々まとめたいと考えている。
現在、中国に赴任する日本人は、
@ほとんどが契約書を交わしていない、
Aそのため、派遣される日本人の現地での役割が明確でない、
B指示命令系統が明確でないため、現地の従業員は場合によっては日本の本社を向いて仕事をする、
C物造りのISOルールは徹底していても、人事に関するISOルールがない(久保田造語‖派遣される日本人の役職に応じた任務、責任範囲、日本と現地の人事フォローの仕組み、採用、人事権、役職昇格、賃金昇給制度の明確化など)。
名ばかりの董事長と
専門部長クラスの総経理が
経営幹部として布陣
初めて海外進出する企業の現地総経理は、経営方法もわからない。ましてや会計や中国法、慣習法による労務管理など、初めての人が多い。そんなことから現地での苦労は並大抵でない。精神的ストレスに陥る人もあれば、自殺する人もいる。
実際には、名ばかりの董事長を日本の社長が務め、日本から派遣された部長クラスが総経理となることが多い。この場合、最悪のケースが生じることもある。なぜなら、従業員は自分にとって最も影響のある人‖日本の社長の言うことは聞くが、総経理の指示には面従腹背になりがちだからである。
従業員からすれば、日本の社長は自分の賃金や役職、資格など、損得を左右する人である。社長の来中ともなれば、信頼を得るためにあらゆる言動をする人もいる。社長のほうも会社が少しでも良くなればと、無意識のうちに総経理を飛び越して従業員の真の声を直接聴く努力をする。回を重ねるごとにお気に入りの従業員も出てきて、社長と個別従業員との間に信頼が生まれてくる。
こうしたことは大事であるが、ひと月に1週間ていどしか来中しない社長に、従業員の隠された真の姿を捉えることなどできない。いったん問題が起きた場合でも、社長本人は「従業員は俺に本当のことを報告してくれる」と真に受けているから、日常から従業員の性格を熟知している現地の総経理の言い分など頭から聞こうとしない。このため、経営管理のまずさ、生産管理のまずさ、不正を見抜けない不都合が出てくる。
こうしたことは、中国で長く仕事をしていると手に取るように分かるのだが、現場を離れている人は、分かっているようで分かっていない。(次号に続く)
【今月の言葉】
社長なんて偉くもなんともない。
課長、部長、包丁、盲腸と同じだ。
要するに命令系統をはっきりさせる記号にすぎない。
本田宗一郎(本田技研工業[ホンダ]の創業者)
<筆者>
久保田昭夫:東芝に32年勤務。退職後の1994年に中国へ渡り、工場運営に携わる。現在は経営コンサルティングのほか、中国赴任間もない日本人などを対象にした会社管理や運営方法を伝授する『久保田式経営塾』を無料で開催している。(URL:www.kubota-consul.jp)
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