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川田茂雄
クレーム研究会主宰 [ 経営 ]
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川田茂雄
[インタビュー]
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社長を出せ!/宝島社(4)
2005.09.25
[ TOPBRAIN RADIO ] あのベストセラー著者に聴く!
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どんなクレーム処理が上手くいっても、 お客様がいなくなっては意味がないのです。
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クレームは一つの出会い
【主藤】 しかし、是非お伺いしたいと思うのが、世の中の、クレームっていうのは問題の1つだと思うんですけども、いろいろな問題の中で金銭的解決が可能なもの、っていうのは比較的問題としては程度が軽い問題だと思うんですね。
いろいろな問題がありますけど。金額がかかっても、最終的にお金で解決出来る問題っていうのはですね、そんなに重大なものではないと。金銭で解決出来ないもの、先ほどの話にもありました写真撮ったものが写ってない、その写真をとるためだけに旅行に行ったと、確かこの本の中に出てくる事例ですけども、こういう風なクレームに発展する可能性があるご商売をなされてる方というのは多いと思うんですね。
【川田】 そうですね。
【主藤】 機会損失といいますかですね。ちょっと取り返せない体験。これに立ち向かう、あるいは解決する方法、何かありますか。ポイントを一つ、二ついただけますか。
【川田】 これは難しいですよね。 要するに写真なんかもそう、もう取り返しがつかないものですね。ただ写真なんかの場合は法律的に見ると、何の保証もしてくれないんですね。
【主藤】 そうですよね。
【川田】 法律はですね。応援してくれないですよ。ですからメーカーが絶対有利なんですが、それでもやはりそういった現実が起きてしまったことは、被害を与えていることはもう明らかに事実ですよね。
ですから「そこを何としてでも少しでも汲んであげたい」と思うのがやっぱりクレーム処理の担当者のあれですね。
【主藤】 でもそうなると、法律的には会社の方にそういう万が一のことがあっても当然保証しないという風になっているわけですから。
【川田】 ええ。絶対有利なんですけどね。
【主藤】 絶対有利だけども、それはやっぱり出しちゃいけない?前面に出しちゃいけない?
【川田】 これで出して、お客様を何とか説得して説得勝ちしたとしても、そのお客様は次からはよそのカメラ買ってしまいますよね。
【川崎】 あとインターネットとかで、よっぽど頭にきてしまったとか言う場合は。
【川田】 そう。載ることもありますよ。
ですからクレーム処理で今一番必要なのは何かと言いましたら、何としてでもその最悪の出会いですね。
【主藤】 最悪の出会い。なるほど。
【川田】 もう怒り狂ってる出会いなんで、常にそれで出会うわけなんですね、お客さんと。でもその出会いをやはり最高の出会いに変えて、末永くお付き合いいただく、真のその会社のファンにしていかないと意味がないんですよ。
【川崎】 ファンに。
【川田】 どんなにマニュアル通り公平なサービス、グローバルなサービスでですね、きちっとクレーム処理が出来たとしても、お客様がいなくなってしまったんでは企業のクレーム処理っていうのは意味がないんですよね。
ですからそこを汲んでかないといけないから、とても難しいとこですよね。
クレームは、理性か感性かで見極めよ 【主藤】 ということは、その理屈だとか規定、あるいは契約の内容とかいうことで解決を図ろうとすると、これは。
【川田】 それだけではやっぱりどうにもならないですよね。やはりクレームって言うのは目に見えてる、表面に現れてる部分と現れてない心の部分と両方あるんですね。
【主藤】 心の部分があるんですね。
【川田】 そうですね。理性と感性、この二つの部分があるわけですね。ですから表面に現れている問題は僅かなことなのに、「何故このお客さんは怒っているだろうか」っていうことがありますよね。
いわゆるそこの部分を解決してあげないと、いつまで経ってもこのクレームっていうのは無くならない、解決出来ないんですね。本当の解決にならない。
【川崎】 なんか信用してもらうまでの長い道のりという感じですね。
【主藤】 なるほど。クレームって言うのはそうするとお客様からの要望という捉え方も当然出来るわけですけども、まぁ最悪の出会いっていう今お話もありましたけども、いったいこのクレームっていうのは何なんでしょうね。時代を映し出すこのクレームっていうのは?
【川田】 そうですね。要するにまぁ、時代を映し出すって言いましたけども、やっぱり社会で起きていく問題、様々な問題が全てクレームに置き換えられる、直結してますよね。いろいろな事件が起きるとそれはもうクレームと直結してるという形になるんですね。
例えば今老齢化社会ですとか、少子化社会ですとかね、いろいろなこう社会全体ありますよね、それがもうクレームにどんどん、どんどん反映させてくる、反映させられてくる、っていうことですね。要するにもう最近はみんな言いたいことが言える時代なんですね。ありがたい時代ですね。言いたいことが言える。
ということは自分が負うべき十字架を背負ってないんですね。マイナス点を背負ってないわけです。つまり、結婚もしてなければ、子供もいないとなるとですね、言いたい事が言えるわけですよね。結婚して子供がいればですよ、自分で言いたいこと言えばいつかそのしっぺ返しをくいますからね。
それを考えると言いたいことも言えない時代がずっと続いてきたわけですね。ところが今負うべきものが何もありませんから、言いたいことが言える、となるともうかなり自由に発言できるということですね。
【主藤】 自由に発言出来ると言う事は、一方で当然ね、個人でも情報発信が出来るというプラスな面もありますけども、マイナスの面も出てくると思うんですね。
このクレームということはたまたまつい昨日ですけども、私がウェブ上で見たんですけどね、あるお店のアルバイトの学生がたまたま自分のブログで、そのお店でアルバイトしていることを体験的に書いたと。それが少しお店のことを批判するような内容だったと。でもそれはあくまで個人の日記なわけですよ。ブログですから、たまたま個人の日記が全世界の人が見れるというだけなんですけども、それがなんか大問題になっててですね、結局社長が謝ったという、ホームページのトップに、その会社のね、なったわけですけども、これはもう一個人のしかも学生アルバイトの日記に過ぎないわけですが、これ広い意味でクレームの範疇に含まれるわけですけども、ここまで考えて、会社の経営者というのは経営を作っていかなければいけないということなんでしょうか?
【川田】 そうですね。やはり社員教育といいますか、会社全体が一丸となってですね、行動出来るような形を取っとかないと、やっぱり危ないですよね。個人情報の問題なんかの最大の危険な部分は内部漏洩ですからね。首を切った途端にですね、流れますから。安易に首は切れないですよね。
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